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不思議の謎を解かねばならぬ

楽園追放 -Expelled from Paradise-(2014年) 雑感

1990年前後のOVAを意識して作っていたそうで、試みは概ね成功していると思います。「話が全然深くないじゃねーか」みたいな批判もかわせる(かわせる?)。

3DCGIに興味を持って行ったので後は殆どその話です。

カットの狙いによって出来不出来の差が激しいなーという印象です。出だしで「情報密度の低いビーチ」と古谷徹(仁義の友情出演)を出しておくことで「これより後のシーンは情報密度が高いんですよ、作り事らしさが無くなっていくんですよ」という含みを持たせるのは成否はともかく度胸のあるやり方でしたが、落着したアンジェラが身体をほぐす引きのカットでジャギジャギのツインテールがバランバランに動く本作有数のやばさに至って「ああ、大変だな‥‥」と思いました。ここに限らず髪の動きと輪郭線の出し方には終始苦労を感じます。

柔軟体操以降も特に3コマ打ち(8fps)で人物が歩くなどの日常的動作をやる時に「まだ違和感があるなー」と思うことが何回かありました。このあたりは中割が二次元的でない*1という原理的ことがらと絡めて語られることもありますが、これ以上どうなると違和感が薄れるのか、2Dアニメに近付けることはそもそも正しいのかなどは専門家でもない私にはよくわからないですね。

3DCGな美少女がカラテする、病気する、食べる、疲れるなど身体性の動作をやって豊かな表情を獲得する話であると同時に、セルルック3DCGIでそうした身体性の表現をやってみせるというベンチマークを兼ねた作品に見えます。当時の近作だと、セルルックではないものの東映内製の『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』で肉汁したたるステーキをアルデバランが食べていたり(原作にないシーン)、サンジゲンの『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』でバーベキューをやったり(これも原作にない)しており、製作側の意図は不明ですがどちらの食事にもデモンストレーション的な、ちょっとした作為を感じました。

メカニックは十分以上だったと思います。はったりの効いたパース表現や特効っぽいテクスチャ、板野一郎のいるグラフィニカによる板野サーカス、ゴーストX-9やオメガブーストのオープニング砲(違う)などかっこよさの特盛りといった様相。比較的すんなり入っていけたのは動きの激しいシーンということもあるし、セルシェーディングのカチッとしたCGロボットアニメには作る側も見る側も慣れてるという理由もありそうです。

*1:3DCGIはフル原画と同等で、線の間を「割る」動画工程とは異なる画が出来る