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危険な自称輸入代行業者「ゲームガジェット」と、幾つかの変名のこと

年度と元号が変わりましたね。当blogでは性懲りもなく詐欺、または消費者に著しい不利を与えるニア詐欺の話をしております。宜しくお願い致します。

これまでのあらすじ

半年ほど前、社名やサイト名を増殖し続けながら全額前金で承った注文をバックレたり、数年後に別機種を送り付けたりする異常な自称輸入業者を営む「松川政裕」、通称VAIO松川(バイオ松川)という人を特集しました。

eps-r.hatenablog.com

上の記事は「近年使っているヴェルテ(追記:2022年にウェルテに改名)も舶来ガジェットも偽名だったし、以後の氏は偽名での商売を本格化させ、個人としての特定は難しくなるだろう。こんなにまとまった話のできるチャンスは最後かもしれない」という理由で書かれたものでしたが、今春にあっては本当にその偽名の増えるところを見つけたうえ運良く特定できてしまったのでお報せしたいと思います(あと最近のプレスの動向も少しやる)。

新サイト「ゲームガジェット」の誕生

2019年4月初旬、一部のプレスリリース公開サイト*1ニュースサイト*2経由で「ゲームガジェット」という新興の通販サイトが知られ始めました。

私の知ったきっかけである上記の橋本新義先生のツイートからしてそもそも「"あそこ"の屋号」と一発でバレているところに何とも言えないつたなさがあるわけで、この「つたなさ」をはっきりさせていきます。

確認(1): 商材・紹介文・運営形態の一致

これは今回まとめ直した松川氏運営サイト(一部)です。

新顔の1つと、現在もとりわけ元気な2つに注目してみます。

これら3つにはそこそこ共通点か、共通していなくても怪しい箇所があり、並べてみましょう。

ゲームガジェット ヴェルテ 舶来ガジェット
直近のラインナップ*3 ODROID-GO、Valve Index、Nubia Red Magic 3、Atari Mini Arcade*4 LUCI immers、Valve Index、OneNote One Mix 3、Nubia Red Magic 3 LUCI immers、Valve Index、OneNote One Mix 3、Nubia Red Magic 3
住所 港区浜松町のバーチャルオフィス 長崎市大黒町のバーチャルオフィス 港区南青山のマンション、部屋番号は未記載、事務所の実態なし
代表者名 大河内伝次郎 佐藤義弘 西園寺雪之丞

つまりは、ラインナップがほぼ同じ(納期グレード別に価格を分ける方式も、それぞれの価格も、紹介文の表現までもが同じ)、かつ全て住所が不定、そしてサイトのうち2つでは代表者が役者っぽい偽名、といったところです。

(以下2022年5月25日追記)

分かりやすい運営形態の共通点として特定商取引法に基づく表記も挙げておきます。

記事を起こした当時のゲームガジェットの特商法表記はもっとシンプルだったのですが、結局トラブルの言い訳のためか先行するヴェルテ・舶来ガジェットとほぼ同じ内容を採用しました。

(以下強調筆者)

当店は納期、納品、仕様、品質の保証、補償はしません。発生しうる危険/リスクは全てお客様が負い、当店は一切危険/リスクを負担しません。海外輸入品の場合、予告なく納品予定日が大幅に変更になったり、納品されない危険/リスクがあります。仕様・品質は保証、補償されません。受注後、大幅な為替変動、大人気化などにより、追加料金を請求する場合や、代替品をお届けする場合があります。納品予定日の変更等重要な告知事項は各商品説明ページにて告知し、メール通知はいたしません。

(中略)

当店は大前提として危険/リスクのある商品を、危険/リスクを事前に明示して合意の基、取り扱って収益を上げており、危険/リスクの発生はイレギュラーではなく、レギュラーなことです。危険/リスクは注文者であるお客様が負い、当店はリスクを一切負いません。お客様は危険/リスクがあることを予めご承知の上、ご予約注文下さい。当店は初期不良が多い可能性のある初回ロットへの注文を避けたり、独自の判断で注文、代行、購入、バックなどの各種行為を留保する場合があります。お客様は当店にそれらの判断を一任いたします。

(後略)

特定商取引法 - ヴェルテ

このセクションの表現はヴェルテの約款舶来ガジェットの約款そしてゲームガジェットの約款を通して、略した箇所の微妙な返金のパーセンテージなどを除けば全く同じです(ページ内検索でハイライトできるほどだ)。

無関係の他店の約款(利用規約)を流用してショップをこしらえる人間はいるかも知れませんが、内容によります。こんな威圧的・独善的・狂気的な文章をわざわざ盗用する人間など居るはずがありませんから、同一人物によるサイトの可能性はやはり十分に高いと考えてよいでしょう。

(追記ここまで)

確認(2): 運営者の知己・経歴

商品や規約が問題業者とのコピペ関係にあるし、そもそも住所不定・偽名の通販サイトから物を買うべきでないよと結論付けて終わりにしてもいいのですが、特定というからには更に別の視点の根拠も少しあります。

<全くやましくない知り合いさんより>

ご無沙汰しておりまして大変申し訳ありません。

春なので新しい通販サイトを立ち上げました。


ゲームガジェット

https://www.gamegadget.jp/

メガドライブミニなど懐かしくて新しいものを取り扱っております。

スマホゲームなんぞ、オッサンには皆目分かりませんので、、、

日共OB

民青OB

日大OB

いや、あなたは大丈夫(笑) - 二階堂ドットコム

ゲームガジェットの主宰者が二階堂ドットコムというblogへと宛てたお便りです。ここでは一応「知り合い」ということで名は伏せられておりますが(そもそも伏せるなよ、大河内伝次郎という立派な偽名はどうした)……。

上京し、自ら日本民主青年同盟(民青)と日本共産党の事務所に連絡し、加盟と入党し、日本共産党機関紙『赤旗』、月刊『学習』で記事となる。水道橋の日大と専門学校に通いながら、神保町の古本屋巡りをした。

Redstar レッドスター 会社案内

民青と共産党と日大のOBというのは、今でもアクセスできる松川氏の公開プロフィールそのままです。更に松川氏はガイガーJPの運営者として二階堂ドットコムへ文と動画を寄稿した過去があり、「ご無沙汰」している「知り合い」という条件もクリアします。

つまり、レッドスターから連綿と分岐・改名を繰り返し生き延びてきたヴェルテや舶来ガジェットがあり、それらと関係ない素振りをして同じ商品を同じ売り方で扱う、たまたま出身団体2つと出身大学の共通する主宰者による新サイト・ゲームガジェットがある、というわけです。

ドメインの所有者欄やURL転送のようなパーフェクトな証拠ではありませんが、ここまでの情報を総合するに、やはり同一人物、松川政裕氏とみてよいのではないでしょうか。

「ゲームガジェット」は使えるサイトか?

引き続き危険と考えています。

クラウドファンディング特有の完成しないリスク、海外通販特有の輸送やコミュニケーションのリスクは通常発生するものですが、ここに乗ってくる危険業者特有の中間業者ふぜいに発注を保留されるリスクはどうしたって無視できません。良く言い換えても博打がせいぜいでしょう。

公正を期して書いておくと「正規代理店を詐称する」「過大な在庫数を喧伝する」「日本語ドキュメントを同封すると言っていたが後に撤回」など横暴にも程があったヴェルテや舶来ガジェットの名義ほど明確なウソついていない、という意味では、プレスリリースだけは幾分かマシかもしれません。

ただし、よくある他の通販サイトと違って完全に銀行振込のみの全額前金制なので、おまかせ納期だろうが特急納期だろうが向こうの気分と能力次第で何もかも決まってしまい、客へのサポート体制は無きに等しいことが想像できます。トラブルの際の返金にもクレジット会社やPaypalを頼れないので、業者との直接交渉がどうしても必要です。

繰り返しになりますが、発注体制や在庫をあのヴェルテと共有しているのが明白な通販サイトです。使い方としては、そうですね……生産数の多そうな商品を選び、内容証明(または配達証明)郵便と当局への相談をいつでも出来るよう準備しておけば、数ヶ月程度の遅れで調達できるかもしれない(摘発を逃れるためか、あるいは本当に頑張ってこうなるのか、時たま常識的な納期で手に入ることもあるようです)。

言い換えましょう。「催促には警察と消費生活センターを頼るべし」という裏マニュアルのある通販サイトをそれと知って使いたがる人は居ないし、同一人物の建てたサイトも然りです。

その他トピック

「雑なプレスリリースを雑に取り上げることで被害が拡大するところもあるよね」と思うところがあるので最近のプレスの動向についても軽くやります。

BCN+Rで舶来ガジェットがたびたび紹介される(1月~3月)

冬にやったQeticの話で一瞬だけ触れた通り、BCN+Retail改めBCN+Rで舶来ガジェットが無造作に紹介されていましたね。

(おまかせ納期の際にはPaypal不可という支払い方法について)180日期限の保護プログラムを嫌う「おまかせ納期」とは、流行廃りの激しいデジタルガジェットにおいて半年以上かつ無期限の遅延を許容させる(そしてFlexPaiにおいては、どちらの方式でも入手すら保証されていません)一方的な仕事と見えます。

海外輸入であるから、クラウドファンディングであるからという口実があろうと、法や条例あるいは商習慣がここまでのことを許容しているとは思えません。これらサイトにおいては消費者保護の概念が著しく軽視され、法に抵触しているか、抵触するおそれがないでしょうか?

BCN Awardなどを開催し業界内外に一定の権威をお持ちのメディアによって、これらサイトが特段の留保のないまま紹介されることに不安を感じています。

一応このようなメール(一部抜粋)を送っていたのですが、

さまざまな情報を提供している一部とご了承いただければ幸いです。

あ、そう……。

まあBCN+Rはマーケティング企業に従属する事実上の広告媒体か業界誌みたいなもので、消費者のことを考慮してやる必要が本質的には無いのかもしれませんね。オウンドメディアの載せる記事はオウンドメディアの勝手ですが、せめて迂闊な内容を出さないことを願うばかりです。

4Gamerに舶来ガジェットのボードゲーム転売記事が一瞬上がる(3月)

4Gamerがプレスリリースを取り上げ、そして公開後24時間以内に消えました(早くて魚拓も取れなかった)。

余談ですがプレスリリースをそのまま載せる時の4Gamerは「以下、プレスリリースをそのまま掲載しています」のような文言を強調していて、リライト行為による記者の無用な信頼度を付け加えないところには責任範囲の切り分けをやろうという意識を感じます(まあ公開することに責任の一端はあるのですが)。

Impress Car Watchが自称デロリアン・モーター・カンパニーの発表を取り上げる(4月)

松川という人は2012年頃からデロリアン・モーター・カンパニーという(同名の米国企業とは無関係。豊橋デロリアンの整備をやっているDMC-Jとも無関係の)会社をやっており、今でこそ会社概要に代表者名を載せない無謀なWebサイトですがRedstar公式blogにも記載のあるれっきとしたグループ企業です。

ここは以前からデロリアンDMC-12だのFIAT500だのナイト2000だのさまざまな車種に対し、EV(電気自動車)モデルを売るぞとプレスリリースを出しては納車できた様子が一切みられず、言うだけ言って名前を売る以外の、マトモな自動車の商売ができているとは考えにくい状態にあります。

というところを踏まえると、

CESでコンセプトモデルが出ただけの自動車を今から税別1440万円で売るのは幾ら何でも無理だし、こんな何も言ってない記事でFacebookのLikeが264も付くのはすごいですね。まあ額が額だけに誰も成約まで行かないとは思いますけど。

一応これも「業として海外の高額商品を扱うには稚拙なこと、あるいは伏せられていることが多すぎる」「米Fiskerと正規の契約が交わされているかどうかに疑問がある」「代表者の副業にあっては被害報告が多数存在する」という旨の意見を添えつつ、

本件の企業・商品(自動車そのものではなく、掲題の企業を経由する購入方法のこと)のクオリティや法令遵守が掲載基準に達しているか、再度ご検討いただけないでしょうか。

あるいは、本件が米Fiskerと正式な契約関係にあるか否かを調査・追記いただくことは可能でしょうか。

上のような要望をメール(一部抜粋)で送ってみたのですが。

いただきましたご意見は編集部内で共有し、今後の参考とさせていただきます。

あ、そう……。

Fiskerと契約があるかどうかを追ってくれないどころかBCN未満の実質ゼロ回答となったことは正直なところ大変残念ですし、特にImpressには詐欺の片棒を担いでほしくないので何卒宜しくお願いしたいところです。

以上です

私が氏の通販サイトを危険と言い続けているのは、ヤフオク時代にカモンクリエイティブ(レッドスター)として放置した数千万円相当のPCや、ゲッコー・アンド・カンパニーでのOculus Rift DK1、近年ではヴェルテでのJelly Proなど、数年に一度悪意とも稚拙ともつかぬ災害めいたトラブルを起こしているような人がしばしば著名メディアに取り上げられている……つまりは、彼の行いとメディアの評価が釣り合っていないように見えるからです。少なくともこの話をblogでやり始めた頃は、過去だの名義だのは関係なく単なる異常な業者であると読めば分かるはずのヴェルテをさも代理店かのように紹介するサイトは多かったように思います。

そのうえ、作文の内容といえば、

お先に失礼します、じゃないよ。

ゲリラセールス、じゃあないんだよ。

こんなメールをあちこち送りつけてるような人からモノ買わんでしょ。

*1:プレスリリースゼロには掲載基準に沿った記事なのかを問い合わせていますが、元々返答や削除依頼には反応しないスタンスなので削除の見込みは薄い。

*2:SQOOL.NET編集部には問い合わせに対し迅速な削除対応に加え、一部掲載ポリシーを含めての丁寧な経緯説明までいただきましてその節は本当に有難うございました。

*3:2019年5月6日現在

*4:ODROID-GOはヴェルテでも、Atari Mini Arcadeはヴェルテ・舶来ガジェットでも取扱いあり。