Windowsのゲームパッドでマウスを快適に動かしたいので「reWASD」を入れる

前に「Windowsゲームコントローラでの操作に中途半端に対応しているせいで、JoyToKey系のソフトが不便でしょうがない」という話をしました。

eps-r.hatenablog.com

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こういうのです。スタートメニューや設定画面はパッドでのカーソル移動と決定に対応しているため、アナログスティックにマウス操作を割り当てるようなツールが入っていると動作が干渉して厳しいことになります。

前回はGPD WIN 2にDirectInputドライバのinfを改造して入れるという誰もついてこない回避方法を提示した(しかも、どこをどう書き換えるのか全く案内しなかった)のですが、最近になってこの問題を解決する有料ソフトウェアreWASDのことを知ったので、軽く使い方をメモしておきます。

reWASDとは

www.rewasd.com

要するにJoyToKeyみたいな物なのですが、キーボードやマウスだけでなく、ボタンそのものの再割り当てに対応している珍しいソフトウェアです。Xbox Elite Controllerの背面拡張パドルにも対応しており、「Xboxアクセサリ」アプリ以上のカスタマイズをサポートしています。

特に背面パドルをシフトキーとして使うことでボタンの役割を4倍に増やせるため、日本語だとFF14PSO2などのネットゲーム勢にウケているような記事がすこし出てきますが、今回はこれをマウス操作をしたいという目的にのみ使います。

幾つかの機能は有料となっており、

  • Advanced mapping - Unmap(デフォルトの入力を無効化する機能)など
  • Combo - キーボード入力を含むシーケンス操作(コマンド入力的なやつ)
  • 4 Slots - 割り当てを保存し、ボタン3つ押しのショートカットで切り替えられるようにする
  • Rapid Fire- 連射

2週間は無料、その後は幾つかあるエディションからお金を払って機能を有効化します。各機能はそれぞれ9ドル、全部入りは19ドルで割安です。

マウス割り当てをやってみる

早速マウス移動とマウス左ボタンについて少しやってみましょう。インストールプロセスはすっ飛ばしますが、インストーラの初っ端から「使用状況を報告する」オプションがオンになっているのでAdvanced Settingを見てチェックを外すといいと思います。

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まず一番右下にある鍵マークをクリックし、Advanced Mapping4 slotsのトライアルを有効にしておきます。

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GPD WIN 2実機で解像度がカツカツ気味になっていることを示すためにスクショは全画面です。とりあえず右上から適当な名前のプロファイルを追加します(Defaultとしました)。

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左上の+ボタンからコンフィグを追加したりリネームしたりで適当に体裁を整えます(いじらない想定のDefaultと、いじる想定のMouseModeの2種にしました。選択中のコンフィグは字が黄色くなります)

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スティックの周囲の円をクリックするか、左スティックを倒すことで割り当てUIが発生します。Left Stick to: Mouseを有効にすることで自動的に他の方向にもマウス移動が設定されます。
同時にUnmapを有効にすることで、Windowsにスティック入力の情報が渡らなくなります。

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同様に、Aボタンをマウスクリックに割り当てます。ここでもUnmapを有効にしておき、Windowsに変な決定操作が渡らないようにしておきます。

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左上のApplyを押すことでスロットにコンフィグが反映されます。Slot 1は未割り当て(ゲームパッドの動作そのまま)にしておきたいので、Slot 2に設定。

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設定の中にSlotの切り替えショートカットがあるので、適当にやります。画面はLB + LS + Aでゲームパッド、LB + LS + Bでマウスモードにするぞという意図。

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Slot hotkey press timeをいじることで切り替えショートカットの受け付け時間を変えられます。

やってみてどうか、気になるところ

駆け足で紹介してきましたが、このUnmap、ゲームパッドのパッドとしての入力をキャンセルするという発想はとても強力なものだと思います。「こういうソフトがあるといいな」と思ってたら本当にあった感じ。

全体的に悪くはないのですが、強いて言えばGPD WIN 2をあまり触らなくなってしまい、ポインティングデバイスに困る率が下がっているのがちょっと問題ですね……後の世代のGPD WIN MAXにはタッチパッドが付いてるのでこういうソフトを使わなくてもいいという。

更に細かいところだと、操作の精緻さがそれほどでもない(カーソルの角度、ホイールスクロールの速度など)のとか、設定画面のUIが重くて難解とかはあります。

また、Controller Companionはフルスクリーンモードをチェックしてマウスモードのオンオフを切り替える機能が付いていてめちゃめちゃ便利なのですが、これの置き換えができないのは残念ですね。キー3つ押しはあまり人間的ではないというか……これは今後の課題としましょう。

とりあえず、DirectInputドライバを強引にインストールするより遥かにマシな解決がみられて私としてはけっこう満足でした。また何か進展があったら書くと思います。

「巨大化した超小型プロジェクター」PIQOの謎

当blogは物を送らない代理店というものに対しての攻撃を繰り返しているので、クラウドファンディングで金を集めているような輸入代理店などをとりわけ憎んでいるように思われるかもしれませんが(実際偏見はある)、今回はMakuakeに出品なんかしてる代理店にも仕事をする者は居たという話をしていきます。

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この「おやこマシン」はそうした仕事の結晶なのです。

出荷を遅らせ続ける超小型プロジェクターPIQO

まず前提から切り出すと、2019年初頭にindiegogoでクラウドファンディングの行われていたプロジェクター「PIQO」という物体があります。

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www.indiegogo.com

thepiqoprojector.com

現在は下側のリンクのように一般販売のフェイズに移っていますが、クラウドファンディング分の全量出荷には至っていないようです。これは一般分の利ざやで出資分の注文をゆっくり送るという自転車操業じみたことになっていると考えられています(これ自体は実はそれほど珍しくもなくて、クラウドファンディングにありがちなリスク要素と言えます。困っちゃうね)。

これだけでも年単位待たされている人が居たり空箱を送りつけられた報告があったりと只事ではないのですが、今回注視する問題はそこではありません。

スペックの疑義

何よりスペックシートが事実を語っていません。

PIQOは世界最小クラスのサイズでネイティブ1080pの高解像度を実現した、という能書きで売れたAndroid端末ですが、Android側からプロジェクターユニットへの入力解像度は720p(HDMI入力は1080p)、ユニット自体の出力解像度は480pで、縦横サイズにして854x480のFWVGAに留まる機種をOEMで売っているというのです。

私の見た限りでは主にRedditや一部海外レビューサイトで疑いが提出されており、Hotack D019OEMであろうと見当が付けられていました。

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少なくとも外形はそっくり同じで、HDMI入力が1080p、出力解像度が480pなところと合わせて確度はかなり高いと思われます*1

そして能書きの4分の1未満の解像しかできないことがエンドユーザーに露見しても、この業者は詐称を認めることは一切ありませんでした。直販サイトには今も1080pの文言が輝いています。

「日本独自エディション」の誕生

こうなると掴まされたのは、クラウドファンディングプラットフォームMakuakeで日本人に売るぞと息巻いていた輸入代理店です。

www.makuake.com

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2千万円以上の金が動いてしまっている。

prtimes.jp

輸入する予定で金を集めてしまった株式会社Earth ShipはPIQOのスペック詐称に後から気付いたため、PR TIMES等にプレスリリースを打ち、

  • PIQO本家はFullHDと言い張っているが、我われはPIQOの実効解像度が854x480しかないことを分解して突き止めた
  • 深くお詫びし、以下の選択肢を出資者に提供する
    1. 返金
    2. FWVGAモデルの受け取り
    3. これから設計・生産させるFullHDモデルの受け取り

という内容を周知しました。

これはちょっとすごい事だと思っていて、コンフィグレーションの変更どころでなくまったくの別物を調達すると言っているのですよね。いくら事前に出荷数が決まっているとはいえ後付けの条件で物を調達するのは、"低リスクの輸入販売" であるMakuakeファンディングの原則からは相当外れています。

他にもアメリカで取得させる予定だった技適を結局日本側で取ることになったなどの処理が重なり、2019年9月末だったFWVGAモデル(=詐欺の産物)の発送予定は2ヶ月ほど遅れました

そしてPIQOジャパニーズエディションであるところのFullHD版にも波乱が待ち受けていました。

以下に関連する進捗報告を抜粋しますが、もともと完成している体の只の輸入品だったものがここまでの大荒れになることはあまり無いと思います。少なくとも巨大化はせんだろ。

コメントでずっと怒られているのですが、怒るのも致し方ないというか、なにせ初手の検討試作がこれですよ(上のリストで★つけたところの画像)。

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金が集まったら後は2~3ヶ月かけて右を送ってればよかっただけの仕事が、なぜか一年かけて誰も望んでない左の代物を輸入商の側で調達することになったというつらさは察するに余りあります。

業者も客もよく頑張った

クラウドファンディングは本来、需要調査的な割引価格での予約販売ではありません。*2

「HAL 9000」レプリカAIスピーカーのクラウドファンディングが破綻。出資金返還も望み薄 - Engadget 日本版

MakuakeやGREEN FUNDING等で横行しているのが「需要調査的な割引価格での予約販売」であることはよく知られるようになってきたと思いますし、MakuakeにPIQOプロジェクターを持ち込んだ時、Earth Ship社の中では失礼ながらそのような見込みがあったことは想像に難くないでしょう。

しかし実際に訪れた試練と、その試練に立ち向かうさまは、まるで "本来の" クラウドファンディングのようでした。そう、このプロジェクトは、「応援購入」の名のもとに需要調査的な割引販売をあっせんし続けるMakuakeを超えて、嘘をついて偽物を売り続けるPIQO本家を超えて、遂に本物のクラウドファンディングになりおおせたとは言えないでしょうか。

たとえ出来上がったものがそれはそれで中国工場のOEMかコピー品っぽい代物でも、結果的に品質としてはゴミだったとしても、なにより1年も遅くなったとしても、成し遂げたことに私は拍手を送りたいと思うのです。それは多分Makuakeの売りたい物ではないし、Makuakeを利用する人の買いたい物でもないから、登場人物の誰も二度とこんなことはしたくないでしょうけども……。

*1:D019だとすると、200ルーメンも嘘だし(50ルーメン)、240インチも嘘なので(120インチ)なにひとつ本当のことがない……。

*2:これをGREEN FUNDINGと提携しているEngadgetで言い切ってしまえるのは凄いですね。よく言えば風通しが良い。

「投稿型まとめサイト」そのものが広告だった回

今年2020年は方々から嫌われ続けたNAVERまとめがついに終了したのが印象深いですが、キュレーションメディアブームの頃にひっそりと立ち上がり、今も細々と維持され続けているガジェット系ウェブサイトを皆様はご存じでしょうか。

gadgetm.jp

WELQ事件前夜の2016年2月頃に開設されたとみられる、その名もそのまま「ガジェットメディア」は、会員登録ページがあることからも分かるように、NAVERまとめのように記事を公募して編集もそこそこにそのまま公開するタイプのウェブサイトです。

なのでPCやスマートフォンなどのうっすらとした微妙な知識や商品紹介が流されているわけですが、

gadgetm.jp

gadgetm.jp

gadgetm.jp

gadgetm.jp

gadgetm.jp

gadgetm.jp

ある時期以降、複数のアカウントから投稿される、サンワサプライ製品をやたら押してくる記事がちょっと目立ちます(というか並べて思ったけど、はてなブックマークを3usersにするスパムもやってるな、これは……)。

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そういえばこのサイトにはGoogle Adsenseのような自動挿入のクリック型広告が全く無く、唯一初回のアクセス時にサンワダイレクトの広告画像がチョロっと表示されるのみです。それはどういうことかと運営会社を見てみると、

運営会社 サンワサプライ株式会社

お問い合せはこちらへ

……要するにロクな広告が無いのも当然で、この「ガジェットメディア」全体がサンワサプライおよびサンワダイレクトの広告であるということでした(それにしても、なりすましを疑ってしまうくらい簡素な表記ですね)。

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運営費用のうち少なくともドメインは確かにサンワサプライが持っているのが分かる。

crowdworks.jp

crowdworks.jp

クラウドソーシングサイトで記事の増量を図っていた形跡もあります。


これだけなら「社名を表示しているからステマではないだろう」という言い訳もギリギリ立ちますが、Internet Archiveをみると運営責任者の名前には個人名*1が書かれていてサンワサプライとの関係性を直接明示するものは無く、最近の一部記事に言い訳のようについている【PR】表記も無い、という状態が2020年の2月まで、4年ほど続いていました(というか、私がサンワサプライ宛に問い合わせたら諸々修正された)。

とはいえ、サンワサプライが4年間ステマを続けていた事実よりも、そのステマが改められるまで誰にも彼にも全く問題にされず、それどころか改められた後もメディアとして、ウェブサイトとして全くといっていいほど認知されていないというのは……怒る前にわびしさが立ちのぼってくるというか……成功というべきか、失敗というべきか、ちょっと難しいところだと思いませんか。

インターネットの片隅に、「ネイティブ広告やってみた」の残骸として今日もガジェットメディアは立ち続けています。

*1:Googleで検索するとサンワサプライのWebマーケティング担当社員であることが分かる