本blogはGoogle AdSenseおよび各種アフィリエイト広告を含みます

危険な輸入代行業者「ヴェルテ」および「ウェルテ」(舶来ガジェット、株式会社シティ、ゲームガジェット)のこと

(追記:同一人物の運営する危険業者の総まとめ的な記事を書きました)

eps-r.hatenablog.com

結論

ヴェルテ(2022年にウェルテに改名)で売ってるやつは大体オフィシャルショップで日本向けに発送してるし、間に変な業者挟まない方がいいです。

どういうことか

ウェブ上に翻訳ニュースが増えて久しく、ドローンや超小型ノートPC、スマートフォンなど、日本での発売予定のない面白ガジェットの情報はひと頃より一層目にしやすくなったように思います。しかしガジェットそのものが簡単に健やかに手に入るわけではなく、たとえば「日本で通販できる!」と喧伝している中には安全でない業者もおります。

今回は近年名前を見るようになったヴェルテ(株式会社ドゥモア)がやばいという話を特に関係ない立場からねちねちと書いていきます。

ドゥモアがクレジット決済業者やPaypalあたりのブラックリストに載りでもしたのか、2018年4月末頃に株式会社シティへと登記も含め社名を変更した旨、タイトルとここに追記しておきます。

世間の評判

「ヴェルテ」や「ドゥモア」などで検索すると、このような記事が上位に現れます。

要点はこうです。

  1. 納期は常に不明、発送が数日数週間どころか数ヶ月の単位で遅れることがある
  2. メールサポートは用件のみのメールが1行またはコピペで基本的に雑
  3. 正規代理店と誤解させる誇大広告を打つ
  4. 高い、6万円台で国内に正規流通しているGPD Pocketを8万円台で売るなど(これは私の感想ですが)

この時点で輸入業者としての信用に欠け、性能に期待できないことがわかります。特に発送の遅さは上記記事だけでなく不満を目にする機会が何度かありまして、あとで具体的に触れましょう。

深刻なレベルで発送に手間取っているところを見ると、まるで先払いのオーダーを受け付けたまま放置して怒られた順から少しずつ消化する、その時間差でキャッシュを増やす自転車操業をやっているようにも見えますね。

昔のヤフオクではその手の自転車操業が大変横行し、ある人はそのサイクルをバーストさせてしまった後、懲りずにレッドスター(ゲッコーアンドカンパニー、舶来モバイル)というショップを立ち上げて同じことをしていると聞きますが、ヴェルテの商品選びのセンスと「おまえ絶対在庫持ってないし発注もしてないだろ」とエンドユーザーに恨まれる評判の悪さはレッドスターにとてもよく似ています。

(2018年3月31日追記:似ていると思っていたら株式会社ドゥモアの代表がレッドスター代表と同名であるソースを見つけてしまったので、松川政裕という人がもう15年以上同じことやってるだけということが分かりました……。このレッドスターと松川氏についてはいずれまた別の機会にまとめておきます。

能書き

実際のところ、ヴェルテ(株式会社ドゥモア)自身が商品説明ページやプレスリリースに書いている内容からも危険性は読み取れます。ページによっては本人自ら「リスクがある」と警告しています。

ただし、リスクをさらりと提示する一方で、VALUE-PRESSなどのプレスリリースサイトやニュースサイトに対しては結構な労力を使って華々しいリリースを投げつけることもよく行われています。

世界の最先端製品を日本総代理店、正規代理店、並行輸入等、様々な流通ルートで入手を実現するキュレーションセールスを行うヴェルテ

たとえば、これはほとんどの商品紹介ページやプレスリリースで多用されている自己紹介です。お分かりのことと思いますがヴェルテが正規代理店であるとは一言も言っていません(代理店になろうとすることも一応あるが‥‥)。一般人でもだいたい使える様々な流通ルートでかき集めるよと言っているだけです。

なぜこんなまぎらわしいことを書くかといえば検索エンジン最適化でしょう。プレスリリースに「正規代理店」「並行輸入」の両方を入れておけば代理店を探す人の目に触れやすくなりますし、読解力のないプレスやブログの中には「おっ、代理店なのか」と勘違いして紹介記事を書く人も居るかもしれません。

重ねて書きますがヴェルテ(株式会社ドゥモア)は正規代理店とは限りません。このような要素は【重要事項説明】当店の特徴、キュレーションセールスとは、リスクについて特定商取引法に基づく表記にも書かれていますが、当然プレスリリースにはほとんど載りません。

【重要なリスクの説明です。】当店は仕様、品質、納品、納期の保証、補償はしません。発生しうるリスクは全てお客様が負い、当店は一切リスクを負担しません(後略)

特定商取引法 - ヴェルテ

改行しないのかしたくないのか。異常に読みづらいので抜粋強調します。

  • 「当店は仕様、品質、納品、納期の保証、補償はしません」
  • 「当店は一切リスクを負担しません」
  • 「仕様・品質は保証、補償されません」
  • 「受注後、大幅な為替変動、大人気化により、追加料金を請求する場合があります
  • 注文後のキャンセルはキャンセル料として商品代金の40%を申し受けます
  • 「倒産、破綻状態等により納品されない場合、当該商品代金の0~10%を払い戻すか次回注文の商品代金から値引いたします」
  • 「リスクは注文者であるお客様が負い、当店はリスクを一切負いません」
  • 「本規約は定型約款として、契約の一部を構成し、当店は事前にお客様の承諾を得ることなく改定し、改定後の規約は遡及して全ての取引、全てのお客様に適用されます」

この手の特定商取引法に基づく表記には普通めったなことは書かれていないので、私を含むほとんどの人は読まないと思います。しかしヴェルテは普通の業者ではないのでそのめったなことが書かれているし、あまつさえクレームの多さに「我われは普通の業者ではない」とキレていることは踏まえるべきでしょう。

堂々かつ繰り返し書かれる「リスクは店でなく客が負担せよ」の文言や、法外なキャンセル料と払い戻し率*1、まさかの追加料金と目を引くところは多いですが、ここでは仕様・品質への保証はしないという点を見ていきたいと思います。

つまり、ヴェルテは多くの商品で90日間の無料保証と以降の有償サポートを謳ってはいるものの、この約款を楯に修理・交換依頼を拒否されることは十分に考えられます。なにせリスクは購入者が負担するそうですからね。またこの手のガジェットの製造元には時折、非正規に流通した商品のサポートを受け付けない体制があることにも注意したいです。

所在地 〒150-8512 東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー15F

特定商取引法 - ヴェルテ

所在地としてレンタルオフィス(バーチャルオフィス)を利用しているのもひとつの判断材料でしょうか。バーチャルオフィスが悪くて不動産が良いという話でもありませんが、規模として参考にせざるを得ないところはあるのでは(倉庫持ってるのかとか)。

要するに、ヴェルテ(株式会社ドゥモア)が一切の危険を負わないのならば、ユーザーにとってはヴェルテを選ぶこと自体が危険ということです。

商品の扱い

約款の話は一旦ここまでにして、極小スマートフォンJelly Proを例にヴェルテが商品とオーダーをどう扱っているか、この店の言うリスクが具体的に立ち上がってくるところを見ていきます。

つまり、この商品紹介ページ

カラフル! な追記に象徴される危険要素を見ていきます。

輸入(正規代理店を名乗るには「クラウドファンディングでパートナーになるコースにバックするだけでなく、別途商談と契約締結が必要、だから君たちとはまだ無関係。」とメーカーが言い張る。はぁ???年間コミットとか無茶な要求されそう。上海オフィスに商談に行く予定。恐ろしや中国人。要求をうのみにすると大変。)

世界で2番目に小さいLTEスマホ「JellyPro」 - ヴェルテ

どうして商品ページにグチを書くんですか? こっちが「はぁ???」だよ。

というかメーカーが正規代理店契約のために商談させてくれと言うのは極めて普通の商慣習に思えます。今までの案件では何を交わして正規代理店を名乗ってきたんでしょう?

適合認証予定 CE、FCCRoHS技適マーク(後日アップデートでソフトウェア表示予定)(当初、メーカーが「技適メークを取得すべく動いている」とコメントしていたが、現在も「まだ取得していない」と進展の様子がうかがえない

世界で2番目に小さいLTEスマホ「JellyPro」 - ヴェルテ

どうして他人事なんですか? 「Jelly Proが技適を取得するぞ」と触れまわっていた日本人の情報元を探ると全てがヴェルテのプレスリリースに辿り着き、そのリリースをメーカーは否定しましたが。

2017/09/20 メーカーに催促したら担当者が「輸送に伴うコストや危険負担を承知するなら」と中国人っぽい無茶ぶり。

世界で2番目に小さいLTEスマホ「JellyPro」 - ヴェルテ

どうして商品ページに日記を書くんですか? 9月頃出荷予定の品を発送できないからとチャイニーズに当たり散らしながら進捗を書いているつもりでしょうか。

2017/09/23 メーカーがバッテリー単体の出荷を諦めたり、大量一括出荷が遅れていたり、大量一括出荷で何か問題が発生したら責任を被れと変なことを言っていることから推測するに、MSDS(SDS)が準備できないバッテリーを調達した模様、、、経験がないんだな。だから1台1台の出荷はできても他は。。。MicroXのときは一体どうやったんだ。。。製造の下請けだけだったのかな。そんなこと事前に調べればいいのに。。それでもクラウドファンディングの会社としてはまともな会社なほうと言えるのかな。。。一応、責任被るのは同意したけど、1~4台ずつ小口で送るなら書類要らないから、それでもいいからさー。勘弁してよ自分の間違いは認めない中国人。(MSDSとかはググって下さい。バッテリー単体の運送は対策を考え中。でも諦めるかも。)

世界で2番目に小さいLTEスマホ「JellyPro」 - ヴェルテ

どうして商品ページにグチと日記を書くんですか(3回目)くらいにしか思いませんが、まさか本当にこれで進捗のつもりでしょうか*2

メーカー直販サイトで、「在庫499個あり」「注文から21~30日でお届け」と記載ありますが、よくある中華サイト式の表示ですので真に受けない下さい。

世界で2番目に小さいLTEスマホ「JellyPro」 - ヴェルテ

ヴェルテのJelly Proはバックオーダーが幾つ在庫が幾つ注文から何ヶ月でお届けなどの表示が一切ないので真に受けようがなく安心! ってことでしょうか? 正規代理店に成り損ねたうえ直販サイトを攻撃する自称キュレーションセーラーよりは直販の方が速くて信用できると思いますが。

2017/11/10 JellyProを待ちきれない事前予約の方向けに現在価格25,800円との差額負担で最優先出荷へ変更手続き受付開始

世界で2番目に小さいLTEスマホ「JellyPro」 - ヴェルテ

あまつさえ2か月後にはこれですよ。「怒られた順からオーダーを消化しているのでは?」という推測を先述しましたが現実はそれを上回りました。

何が起きているかというと、ヴェルテ(株式会社ドゥモア)が早割価格で注文を集めておいて商品を送らず(送れず)、それどころか商品とキャンセル料を楯に「発送して欲しかったら金を払え」と追加料金を求めるという行動を起こし、またそれを自身の手で公表しているという事態が起きています。

おおかた12800円~16800円程の「早割」オーダーをプールしていたら公式ストアで値上がりしたので利ザヤが出なくなったのでしょうが(これは性格の悪い推測です)、この書き口では後で高値で注文したユーザーへ優先して発送していることすら疑えませんか。

クラウドファンディングの製品が完成した後に一般販売を始めたとき、「購入者」から得た割高な利益を相殺するかたちで「出資者」分の商品を発送してゆく事例はありますが*3、それだって普通は発送と追加料金を天秤に掛けるようなことはしません。まして売買契約を交わしたはずの自称輸入代行業者に突然そんなことをされて納得する道理はないでしょう。

開発元Unihertz社がKickstarterでやるならファンドですが、その上前をはねようとしてヴェルテがやるならそれはセールになりますよね。出資でも普通許されないことが売買で許されるわけがありません。しかしおそらく約款に書いてあるからと、これをやるのがヴェルテです。非常識な約款は、ただあるだけでなく運用されうるということです*4

受注順に出荷するのが当然なため、出荷の順番変更要求は一切受け付けておりません。ただし唯一、現在価格25,800円との差額負担で最優先出荷へ変更手続き可能です。(現在まで変更手続きの実績はありません。)

世界で2番目に小さいLTEスマホ「JellyPro」 - ヴェルテ

これは11/10時点には無かったフォローですが、これら文言の意図はより正確には下記になるようです。

https://twitter.com/356_22/status/930717499502370816

お客様の個別の事情により順番を繰り上げて出荷対応をするケースが少数ですがありましたが、順番を変更する要求されるお客様への対処方法、ルールとして現行価格25,800円との差額負担を求め、これに統一することといたしました。

これは対処方法、ルールを明確にするとともに、順番の変更要求を抑制し、当初の価格にてご予約いただいたお客様へ順番に出荷を続けるためであります。

当店の目論見通り、現時点まで差額負担の希望者はいらっしゃいません。

https://twitter.com/356_22/status/930717499502370816

口語に訳すと「早く発送しろってうるさい客が居るから、ちょっと脅かしてるだけだよ」で合ってますかね。非常識な約款を脅しに使ったという。金が入ったら嬉しい、金が入らなくてもクレームを突っぱねる言い訳がひとつ増えて目論見通り。ヴェルテにとってはどちらに転んでも幸せな施策です。よかったですね。

このようなtweetもあるため、「早割しないと早くなる(???)商法」の説明された意図をどう好意的に見ても「今までは注文順じゃなくて怒られた順に発送してました、という白状」がいいとこでしょう。

膨れたオーダーをまともに処理できない、それなのに受注のコントロールも全くしない*5、納期の問合せにもメーカーか消費生活センターのレベルで怒られないと回答しない、などの傍証からも、今回のような品を扱う、または今回のような規模を扱う業者としての性能はきわめて低いという疑いは、的外れでもないと思います。

悪名高いレッドスター(=ゲッコーアンドカンパニー、舶来モバイル)と株式会社ドゥモアが繋がっていて実は同一人物が運営しているという説までありますが、同じ者であろうとなかろうと全くおすすめできません。

(2018年3月31日:訂正を追記)悪名高いレッドスター(=ゲッコーアンドカンパニー、舶来モバイル)の代表者が株式会社ドゥモアをおそらく実質的に運営しているとなればいよいよ信用ならないのですが、同じ者であろうとなかろうと全くおすすめできないことには変わりません。

散々あげつらった約款や注意事項も本当のことは言っていて、ただでさえクラウドファンディングや海外通販には商品が完成しなかったり届かなかったりするなどのリスクがあります。そしてそのうえで、ヴェルテ(株式会社ドゥモアおよび株式会社シティ)がリスクに対して保証も助けもしないこともその約款が自ら明らかにしていて、むしろ購入の妨げになり得ることまでが行動で示されています。

クラウドファンディングだから」「キュレーションだから」「約款に書いてあるから」「品を送る意思はあるから」などと言い訳を繰り返して当局の追及を逃れ、遅延どころか危険を増やすような自称キュレーションセーラーを、客とメーカーとの間にわざわざ挟む理由はありません。

この手の品は直接出資・購入するのが基本的には最良ではないかと思いますが、もし並行輸入業者や転送業者を使わざるを得ない事情があるとしても他をあたった方がいいでしょう。もちろん規約や評判は参考にしつつ。

(追記:続きの記事はカテゴリにまとめてあります。下は代表的なもの)

eps-r.hatenablog.com

*1:クラウドファンディングで出資したカネは返ってこないのが普通ですが、代理店を名乗る業者がそれをやっていいのかという疑問があります。

*2:以前のヴェルテなら本当に何も書かなかったので成長はしている。こんな成長があるか。

*3:私はJelly/Jelly Proに出資しておらずBacker向けUpdatesを読めないので今回それがあったかどうかは知りません。

*4:キャンセル料を40%取ると言ったら取る(これは本当に取ってる)し、仕入の破綻時の返金額が0~10%と言うならどうせ0%でしょう。

*5:驚くべきことにヴェルテのJelly Pro商品ページからの「カートに入れる」ボタンはまだ有効です!