なぜ舶来ガジェット(=ヴェルテ)の危険な商法に加担するメディアが現れるのか

2月も後半ですが、本blogとしては今年1回めなので明けましておめでとうございます。今回は特にめでたくない話です。

要約

当店は納期、納品、仕様、品質の保証、補償はしません。発生しうる危険/リスクは全てお客様が負い、当店は一切危険/リスクを負担しません。

特定商取引法 - ヴェルテ

・納期納品は保証、補償されません。
・中途解約はキャンセル料30%がかかります。

折りたたみスマホ「FlexPai」開発版 - 舶来ガジェット

こんな能書きの通販サイトを「国内販売開始」とさもマトモな業者かのように紹介するメディアは実在している。知っていて通すなら良識が無いし、知らずに通すなら能力が無い。

あらすじ:雑なリライト記事を連発するニュースサイトを見た

先月1月は観測範囲内で小型スマートフォンや曲がるスマートフォンなどの海外ガジェットの情報が多めに出回っていましたが、元を辿ると幾つかは信用ならない業者の発射したプレスリリースでした。

この「信用ならない業者」については長くなるのですが、注文を受けた品を発注かけずにバックレたり、あるいは数年後に突然送りつけてきたり、全く別の商品をわざと送ったりすることでここ数年を生きている人の通販サイトです。詳しいことは前に書いたので、被る部分は省略します。

eps-r.hatenablog.com

で、少し調べてみるとQeticという歴史の長いらしいWebメディアがあり、そこに幾つかの非正規輸入スマートフォン記事が上がっていました。追記:本記事の公開後12時間ほどで消え、大変目に悪い404ページに差し替わったのでいわゆる「魚拓」を貼り直しています。

事実上同じショップの宣伝が、同じ人の手で1月中に5件も書かれています。なんだこりゃ、機関誌か?

カオスを好む印象のあるEngadget Japanese現編集長ですら煙たがっていたのが印象に残りました(タイミング的にはsoraeのK-TOUCH i9紹介記事(消失)を見た可能性もあるが)*1

問い合わせ内容

短期間にあんなものを連射するサイトが心配になり、思わず問合せフォームから下記のようなメールを送ったのが1月末のことです。

ライター「まおまお」氏によって度々書かれている「ヴェルテ」「舶来ガジェット」(扱う商品や販売方法等*2から、この2つは同一人物によるWebサイトと断定できます)の輸入スマートフォン記事について、

・製造販売元の関知していない並行輸入(転売)であること
・日本での利用に必要な技術基準適合証明を受けていない、電波法に抵触する機器であること
http://welte.jp/laws 納期はおろか納品の保証すらなく、如何なる理由のキャンセルにおいてもキャンセル料40%を徴収する、特定商取引法に基づく表記としては違法ではないかと思われるほどこの業者に有利な約款が掲げられていること
・上に関連し、「おまかせ納期の場合はPayPal不可」など顧客保護の概念を軽視していること

などから尋常のメディアが取り上げるには問題のある商法と考えておりますが、いかがでしょうか。
ネットで検索しても、商品が届かない、発注をすっぽかされるなどの評判が多く心配しています。

1週間経って何も無かったので、記事のURLを付けてもう少し具体的な話を送り付けました。クレーマーをやっている自覚はあります。

お問い合わせフォームにてご連絡致しましたところ、1週間ほどお返事をいただけなかったため、もう一度だけ送信致します。

2.45インチ画面?!極小スマホ「SERVO X7 Plus」国内販売開始 https://qetic.jp/technology/sumaho-190104/306089/
手に馴染むミニスマホ「Soyes XS」国内販売開始!時代は大画面より3インチ https://qetic.jp/technology/sumaho-190118/306995/
手のひらサイズの小型スマホ「Melrose2019」日本語版の発売開始 https://qetic.jp/technology/sumaho-190120/307086/
【最新ガジェット】折りたたみスマホ「Flexpai」予約受付開始 https://qetic.jp/technology/sumaho-190125/307571/
人気急上昇中の小型スマホ「K-TOUCH i9」販売開始! https://qetic.jp/technology/sumaho-190129/307746/

上記の記事が御社として問題ないものかどうか、ご教示いただけますか。

というのは、これらで紹介されている「ヴェルテ」ならびに「舶来ガジェット」という、非正規ルートを含む転売業者のWebサイトについて、法的または道義的に疑問がございます。

特定商取引法
・ウェブサイト上の所在地表記にバーチャルオフィスを利用しており、事務所の実態がない
・代表者名が偽名(舶来ガジェット「西園寺雪之丞」)

これはただちに違法ではないが問題になりうると認識しております。

■電波法
・携帯電話やWi-Fi機器を輸入するにあたり、技術基準適合証明等のマーク(技適マーク)を取得していない品を販売しており、今後技適を取得する予定もない

こちらも実際に摘発された例は皆無に近いものの、法に抵触するものであります。

■刑法(詐欺罪)
ウェブ上では、特にヴェルテに注文した商品が数ヶ月・数年届かないトラブルや、注文したものと違う商品が「代替品」という名目で発送されるなどの横暴を受けたという報告が複数発生しています(ごく一部を末尾に記載します)。

これはクラウドファンディングや海外業者を経由する故の不安定さではなく、そうした流通を口実に発注の遅延や放棄を正当化する約款を根拠に発しているものです。「プレスリリースに送った品を納品しないことがある」と商品ページや自社の注意文言ページへ記載し、これを行うサービスは、法に抵触しているか、または抵触するおそれがありませんか。

或は法的に問題なかったとして、Flexpaiの販売ページなどにある「納品の保証はしない、おまかせ納期コース(銀行振込、全額前金)」という集金の方法を、責任あるメディアが留保なく宣伝してよいものでしょうか。



御社のメディアを経由して通販トラブルが拡大することを懸念しております。

こうした製品・サービスに対する、御社のスタンスを今一度ご確認いただけないでしょうか。

以上となります、何卒宜しくお願い申し上げます。

※参考:
「ヴェルテ」「舶来ガジェット」の特定商取引法に関する表示
http://welte.jp/laws
http://hakurai.jp/laws

代替品が届いた旨の報告
http://www.kazu0121.com/entry/2018/07/19/001200
https://twitter.com/vvakame/status/1020859004640157697
https://twitter.com/SpaceNinjaXXX/status/1023083740422008832

発送が1年以上遅延した、または未だ遅延している旨の報告
https://twitter.com/Dr_Kaeru/status/1010704136281587713
https://twitter.com/kajimack_ch/status/976289125325094913

そして1週間以上何のリアクションも無かったので本記事に至るという経緯です。

余談になりますが、この舶来ガジェット・ヴェルテで発生している「おまかせ納期(Paypal不可)」「ASAP納期」で価格を変える商法は凄まじいですね(参考1参考2)。

お急ぎ便どころの話ではなく、氏の言うところの「おまかせ納期」では半年以内に入手できる保証がないから、買い手保護制度で180日の返金期限を切られるPaypalが使えないのではないですか。どちらの納期の場合でもスケール感として数日や1ヶ月ではなく最低0.5年単位あたりを覚悟すべきですし、Flexpaiに至っては入手できるかどうかが博打になると書いてある。いや、博打という言葉そのものはないが、「納期納品は保証、補償されません」とは、そういうことでしょう。

さすがにあれを注文する人は文面を理解していると思うのであまり同情できませんが、しかし、漫然と紹介しているQeticやBCNには疑問が残ります。

問い合わせに返答なし

上にも書いたとおり2通の問い合わせをそれぞれ1週間ずつスルーされたので、Qeticというメディアは、

  • プレスリリースの送信者に興味を持たない
  • 掲載内容の法令遵守や道義的意義に興味を持たない
  • 消費者保護の概念に興味を持たない
  • 記事の事前事後の編集校閲体制が弱い、または存在しない
  • 一般市民の問い合わせに対しリアクションする姿勢が存在しない
  • ようするに掲載する内容に責任を持たない

上記のうち、ひとつ以上には当てはまるのかもしれません。

一応「メールフォームが壊れていた」「返信メールは送られたが届かなかった」という可能性もありますし、そもそも各々のメディアには各々の編集方針があり、問合せ対応ポリシーがあるのでしょうから、とやかく言うのも間違いかもしれませんね。私は、気を付けている人が助かり・そうでない人が不利益をこうむりそうな仕掛けがあった時、せめてそこに助け舟を出すのが大メディア様のあるべき姿であろうと思っていますが、Qetic様におかれましては深堀りインタビュー等のカルチャー記事に手一杯、あとはプレスリリースのリライトで埋め草を作る他には補足ひとつ満足に付けられない忙しさなのかもしれません。大変ですね。そのようなお忙しさでは私のような被害者でもない一民間人の問合せなど無視するに限るというものです。全部想像ですが。

あるいは、あの全ての狼藉を正当化する約款を見たうえで、本当に宣伝に値するものと考えているなら大した編集方針です。

(2月28日追記:Qetic編集部からお返事を頂いたので末尾に追記しました)

プレスリリース本体が消えた

さて、ニュースの元を更に辿っていくと、情報元サイトが無料プレスリリース配信サイトのプレスリリースゼロにあることがわかります(でなければ直接Qetic向けに同内容のタレコミがあったか)。

記事の掲載順・時期ともに、見事に対応が取れています。タイトルも似ていますね。

そして上のURLはプレスリリースゼロに確認依頼を送ったら1週間して全部消えました*3。この手の配信サイトには発信企業向けの利用規約というものがあり、違法・危険な内容を禁止していることが多いので再チェックしてもらえば消える時は消えます。まあこれもクレーマーのやり口であろうとは思いますが‥‥。

しかしQetic様におかれましては、少なくとも4つの配信サイトにBANされる*4ような内容を留保なく連射してのけるとは、さすがのオウンドメディア様だなあという‥‥まあ、諦めがあります。

時代に口髭を生やすニュースメディア
Qetic “けてぃっく” とは

About Qetic | Qetic

もう時代に口髭でもなんでも勝手にしてくれ。

(2月28日追記:Qetic編集部からお返事を頂いたので末尾に追記しました)

時にメディアには判断がない、のでは

表題の話をします。

Qeticにせよ、舶来ガジェット(ヴェルテ)に対して「そんなに悪いものでもなくない?」「載せてもいいんじゃない?」という価値判断が働いた結果の掲載であればまだ納得できるのです。ただしその時でも違法機器には違法機器なりの、博打には博打なりの紹介の仕方があるという線は譲れませんが‥‥。

しかしクソプレスリリースの拾われ具合を見ていると、媒体の人たちは判断すらしていないことがある気がします。悪意の無い代わりに判断力が欠けているといいますか。

プレスリリース配信業者は依頼者の言うことをそのまま流すのがお仕事ですから、精査がゆるくなるのもある程度仕方ない面があります。ではメディアの流すあの「リライト」記事は何なのでしょう? プレスリリースをライター自身の言葉で書き直す過程で、取材もチェックもまともに介在しないなら、ただ劣化した情報を媒体の名をつかって転売しているだけではないですか?

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これはクソプレスリリースがお上手な文章にリライトされ著名メディアの名前で拡まってしまう仕組みを書いたつもりの謎の図です。

ようするに、業者を信用するゆえ精査の甘いプレスリリース配信業者があり、プレスリリースを信用するゆえ再配信やリライトで飯を食っているニュースサイトがあり、ついでに言うと小悪党をしょっぴけない警察当局がある。クソ業者のプレスリリースとは、みんながちょっとずつ間違えることで権威を発生させてしまう脆弱性のようなものではないか。

複数社にBANされるような輩とはいえ、流してしまったプレスリリースは仕方がないし、プレスが採用してしまうのも止む無しという言い方はあります。改善の余地はあるにせよ人間が作った仕組みである以上完璧ではありえません。そしてニュースサイトに載っていることを信用してしまう我われエンドユーザーもまた脆弱です。騙される方が悪いとは言いませんが、最終的には自衛をやっていく他ないだろうとは思います。

付け加えるなら、その自衛のための知識をメディアで時々教えてくれるといいんですがね。別に業者を名指しで叩かなくても、並行輸入の定義や、並行輸入業者からの買い物の時は納期と保証とサポートを確認するなど言えることはあるとは思うのですが、お上品な国内ニュースサイトの大半は非正規輸入品そのものを初めから存在しないもののように振舞うので望み薄とも同時に思います(電話だと電波法とかあるしね‥‥)。

以上です

  • 「プレスリリースを雑に引き写す仕事で何がオウンドメディアだ、正気の人間があんなものを拾えるのか」とは思うし、最低でも態度は明確にしろ
  • ただ何か変え難い仕組みはあるのだろうし、あまり個々のライターや媒体を悪し様に言いすぎるのもうれしくない
  • 客としては各自で自衛していきましょう

という話でした。


最後に、今回に限ってなぜ終始「質問をすれば答えてもらえると思っているバカ」みたいな態度で居るのかですが、

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お問い合わせいただきありがとうございます。

メールが無事送信されました。

内容を確認次第、担当より返信させていただきます。

お問い合わせ | Qetic

どうやら私には担当が付かなかったようです。もしタレコミか広告主にしか返事したくないのならそう書いといてくださいQetic様。

追記1/記事の削除について(2月23日)

このblog記事の公開後まもなくQeticの雑なリライト5件が消えたことについて、お問い合わせを送りました(メールフォームが壊れている可能性を考え、通常使用されているメールアドレスにも合わせて送付しました)。

お世話になっております。

ライター「まおまお」氏によって度々書かれていた「ヴェルテ」「舶来ガジェット」の輸入スマートフォン記事について、二度に渡るメールフォームからの連絡にあらゆるリアクションを頂けないまま、blog( http://eps-r.hatenablog.com/entry/2019/02/20/pressrelease )が公開されるや12時間余で目に悪い404 Not Foundに差し替わるという迅速なご対応、誠にありがとうございます。

通販トラブルの拡大を心配している当方としては良かったと思いますが、如何なる判断があって(または、如何なる判断を欠いて)元記事が公開され、如何なる判断によって記事が取り下げられたのか、ついにお答え頂けなかったことは大変残念に思います。もし御教示くださる用意ができましたら、いつでもご連絡ください。

今後も貴誌による音楽・カルチャー(と、それ以外)への創意ある貢献がありますよう祈っております。

お問い合わせいただきありがとうございます。

メールが無事送信されました。

内容を確認次第、担当より返信させていただきます。

お問い合わせ | Qetic

返信はありません。タレコミか広告主にしか返事したくないのならそう書いといてくださいQetic様(2回目)。

追記2/Qetic様からお返事いただきました(2月28日)

初回の連絡から約4週間経った頃にお返事が来ました(対応の遅れについて丁寧にお詫びをいただき、こちらからも改めてお礼の連絡をしました)。

要約としては

  • 指摘を確認し記事は削除した
  • プレスリリース配信会社経由の情報ということもあり確認が不十分であった
  • 今後留意してゆく

とのことで、掲載にあたって判断が欠けていたことが分かって納得しました。お忙しい中ありがとうございます、お疲れ様でした。

追記3/その後など

その後の舶来ガジェット(ヴェルテ、ゲームガジェット等)の動きはカテゴリー「詐欺」でたまに追っているのでお時間と興味のある方は見てみてもいいかもしれません。

*1:ここで言われている株式会社ドゥモアは昨年5月頃に株式会社シティへと改名し、今はそれも無くなって仮想通貨投資詐欺を疑われている人物と同姓同名の「佐藤義弘」個人の名前が運営業者の欄に書かれています。

*2:同一業者扱いする理由は「扱う商品や販売方法」で十分だと思いますが、少なくとも今現在はWHOISも有効です。ドメイン所有者はRedstar Inc.。

*3:問合せフォームに「如何なる修正削除要求にも応じない」と書かれているのでこの手の連絡は無視されるのかと思っていましたが、いざやってみたら社名単位で消滅しました。返事は無かったので「応じない」という点は正しい。

*4:以前に「@Press」「Value-Press」「ドリームニュース」様への確認の結果削除されています。