以前キーボードMoto Modsが立ち消えになった時に「私とMoto Modsたちはここで緩やかに朽ちていきます」と書いたのですが、その後の開発者らの尽力によってリリースされたQWERTY Slider端末こと F(x) tec Pro1を調達していたので感想とか環境構築メモみたいなことを書いておきます。
評価
アルファベットを中央に置きたかったと推測しますが、キー配列には若干のクセがあり、CapsとAの間に不自然な記号を置かない方が良かったのではと思います。とはいえ同社最初の端末としては予想外に堅牢なスライド機構と良好なキーボードを備えたことは驚きで、Moto Mods時代の長い検討期間もあってかかなり良いです。termuxやUserLAndでCLIのシェルを叩いて遊ぶのに困らない程度の記号キーを備える端末としては現行最小ではないでしょうか(TitanとかKEY2とかでも意外に困らんかもしれんが‥‥)。
おもに資金の問題から少数生産に留まり大部分のBackerにお届けできなかったMoto Z用キーボードModをキャンセルして「次は一体型で上等なスペックのスマートフォン本体を作ります」とアナウンスするの、さすがに賭け金をレイズしてるとしか言いようがないじゃないですか
— 稲葉 (@eps_r) 2018年12月9日
ここまで言った上でプロジェクトの推移を見てから褒めてるんだから本当にすごいことが行われたと思っているのは分かってほしい。まず完成した時点ですごい。
ただし、一般販売価格の約10万円というのは今どきSnapdragon 835端末としては余りに高価です。分厚さと重さも無視できないし、アップデートを重ねて尚システムの不安定さなどソフトウェアの練り込み不足も感じます。総じて何というか、看護と慣れと割り切りの必要な端末です。
Tips:
以降はそうした割り切りを伴う豆知識など。
キーボードから日本語入力を切り替える
基本操作ですが、いきなりつまづくので。
- GBoard - GBoard側の設定(設定→システム→言語と入力→仮想キーボード→GBoard→言語)から日本語だけでなく英語を追加することで、Shift + Spaceによる切り替えが有効になる。
- Google 日本語入力 - Ctrl + Shiftで切り替え。
- ATOK - Alt + Spaceで切り替え。
個人的には切り替え時のキーバインドにクセがあるものの、縦横両方の操作性を総合するとGoogle日本語入力一択にはなります。GBoardは縦がだめで、ATOKは横がだめ。
アプリケーションショートカット
ホーム画面に居るとき、A-Zか0-9キーの長押しを任意のアプリケーションの起動に割り当てることができます。
未割り当てのキーを長押しすることで割り当て画面が起動する他、ホーム画面の背景をロングタップして「ホームの設定」を開くことでKeyboard Shortcutsから一覧を編集できます。
特殊キーのキーコード
- シャッターボタン半押し - FOCUS
- シャッターボタン押し - CAMERA
- キーボードを閉じる(キーのバックライト消灯) - F5
- キーボードを開く(キーのバックライト点灯) - F6
後述のRemapperなどでキーボードのF5, F6イベントをTaskerに連動させることで何か遊べるかもしれません。
キーボードレイアウトを拡張する
Fx QwertyはShiftとFnキーの扱いを近づけ、Shift+数字記号でFn同様の記号を出せるようになるカスタムキーボードレイアウトです。使用感がかなりPCに近付いてうれしい。
追記: ATOK、Google日本語入力用に新しいレイアウトを作りました
Issue:
Shift、Alt等の押下状態が次に残らない
昔のQWERTY端末に慣れているとギョッとするところです。Windowsで言うところの固定キー機能に相当するものがありません。対処法もなさそう。
「お使いの言語のキーボードレイアウトを設定してください」のような通知が出る
無視して通知を消すこと。こんな特殊キーボードを日本語109や英語104などの汎用品として扱う理由はありません。うっかり適用すると一部の記号が出なくなります。
もし設定してしまった場合は「システム→言語」から全てのレイアウトのチェックを外してデフォルト配列に戻すことで復旧できます。
また、前述のFx QwertyやFx Kanji Modでインストールされるキーボードレイアウト(Pro 1デフォルト配列のコピーも含んでいる)はこのキーボード設定機能を活かしたカスタマイズなので、これらのレイアウトを適用してもいいです。
指紋センサーの精度が悪い
側面に付いている狭いセンサにマトモな性能は期待できません。最大5パターン登録可能なので、同じ親指を先端・腹・下で3本、同じ人差し指を先端と腹で2本登録するなどで回避していくしかないかと。
一部アプリの縦横の向きがキーボード開閉に追従しない
適当な回転制御系アプリケーションを入れる対処があります。個人的にはRotation Control Proで通常は「指定しない」、問題が出たら個別にそれ以外(縦でも横でも自動回転でもこの機種に関してはあまり違いがない)にしています。
エッジスクリーン部の誤タッチが暴発する
どうしようもないのでEdge Touchなどでガードします。が、個人的には効いたり効かなかったりエッジスワイプ等で支障が出たり面倒くさかったので人間の方で何とか合わせてしまいました。
パーツ調達の都合などいろいろあったのでしょうが、この展開機構とは相性が悪かったと言わざるを得ません。
カメラの画質が悪い
些細な差ですがGCam Portでちょっとマシになるかも。GCamはビルドによって動いたり動かなかったりで、F1 v9.5はナイトモードでプレビューが反転することを除けばまあまあ良好です。
デフォルトのカメラアプリを変更したのにカメラボタン長押しでSnapdragon Cameraが起動する
標準のカメラ長押しで起動するアプリがパッケージ名を決め打ちしているらしい。上記のGCamを入れた時に困ります。
これも割とどうしようもなさそうなのでRemapperでカメラボタン長押しを「カメラ」に割り当てています。
Bluetoothオーディオデバイスから音が出ない
Pro 1側がプロトコル上はFLACを優先するが実際には非対応ということをしでかしているので、Bluetooth設定や開発者オプションを使ってSBCを優先すると回避できます。オーディオデバイス側に同様の設定がある場合は、そちらからSBCを優先してもいいです。
日本発売と同時期、今月上旬にリリースされた最新ソフトウェアで黙って直ったかもしれません。今ちょっとBTデバイスを紛失してて確認できない……。
ホームボタンスワイプのランチャーがアクティビティの背面に回って操作できない
自分の環境でたまに起こっていて、どうしようもないので「システム → 操作 → ホームボタンを上にスワイプ」をOFFにしてAndroid 8以前の操作系に戻しました。
これは最新ソフトウェアでも直ってないと思います。書いてる途中に出た。
受話音量が大きすぎる、ゲーム等で音声にガリガリとノイズが入る
これは今月上旬のソフトウェアアップデートで明示的に直りました。
おわり
個人的には満足しているものの、せめてキーボード以前の問題は次世代機で何とかなるといいですね。出るかどうかは分かりませんが今後に期待しています。
その更に前にまずは、直販分として早期にプールした注文に対しちゃんと発送してくれという問題はあって(1年前の注文者にまだ届いてないのマズいでしょ)、賭けの元手を返さないままのうのうとリンクスに卸してる場合じゃないと思うんだけどさ……。