ヴェルテのような悪質な通販業者には全額返金を要求できる(舶来ガジェット、ゲームガジェットも)

物をいつまでも送ってこない業者に対するクレームの入れかたの話をします。

注意事項

注意: 通販でトラブルに遭っている場合、まずはお近くの消費生活センター、警察署、法律事務所などに相談することを強く推奨します。本記事で紹介する法律は執筆時点で実在のものですが、その内容・解釈・運用に関して筆者は一切の素人であり、記事の正確性・有効性は保証できません。あくまで想定しうる一例であり、記事の内容を実行したことで万一何らかの損害が発生したとしても当方では責任を負うことはできません。

まえがき

当blogでは折に触れて松川政裕という人の経営する悪質な通販サイトの話をしており、このかたは全額前金で受けた注文をバックレたり数年後に別機種を送り付けたりするという、控えめに言って異常に性能の低い輸入業のウェブサイトをしかも複数運営することで知られております。

eps-r.hatenablog.com

eps-r.hatenablog.com

「ヴェルテ」「舶来ガジェット」「ゲームガジェット」などの名で知られるその辺りの業者のことは何かあるたびにblogの記事を増やしてきましたが、商品が来ない時に実際どうすればいいかについては当事者でない引け目もあってなるべく避けてきました。

しかしtwitter過去記事のコメント欄などで納品や全額返金に成功している方々からの情報提供をいただき、注意喚起だけでなく対処法を置いておくのが筋というものかもしれない……と思い直したため、

「催促には警察と消費生活センターを頼るべし」という裏マニュアルのある通販サイトをそれと知って使いたがる人は居ないし、同一人物の建てたサイトも然りです。

危険な自称輸入代行業者「ゲームガジェット」と、幾つかの変名のこと - eps_r

この裏マニュアルを実際に書いてみよう、というのが今回の話です。当局は出てこないが……。

考えかた

筆者は当事者でも法律家でもないので、全額返金を要求できる根拠、つまり約款が法律に優先しない根拠については軽く調べていきます。

消費者契約法: 不当な約款、異常な広告は排除される

ヴェルテ、舶来ガジェット、ゲームガジェット等の松川氏の手になるウェブサイト(以下ヴェルテ)では、特定商取引法表記によって「キャンセルには40%の手数料を取る」「履行遅滞を無限に許容させる」などの異常に業者側有利な内容での契約を強いてきますが、これらの約款は消費者契約法における無効条項になりそうです。

具体的に見ていきましょう。消費者庁サイトで解説されている消費者契約法は、以下の事柄について無効となる旨を規定しています。

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https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/pdf/public_relations_170329_0001.pdf

  • 事業者の損害賠償責任を免除する条項(8条)
    • 「当店はリスクのある商品を、リスクを事前に明示して合意の基、取り扱って収益を上げており、リスクは注文者であるお客様が負い、当店はリスクを一切負いません。お客様はリスクがあることを予めご承知の上、ご予約注文下さい。」
    • 「ご注文後に技適マークがないことを理由にしたキャンセルはキャンセル料として商品代金の40%を申し受けます。」
  • 消費者の解除権を放棄させる条項(8条の2)
    • 「当店の商品はいずれも特殊な商品につき、返品には応じかねますのでご了承ください。仕様が異なる、品質が不十分であった場合でも返品には応じかねます。 」
  • 消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項(9条)
    • 「注文後のキャンセルはキャンセル料として商品代金の40%を申し受けます。」
  • 消費者の利益を一方的に害する条項(10条)
    • 「無断で返品した場合は違約金として、返品送料の100%をご負担いただきます。」(これは苦しいか?)

……ほぼ満貫では? これらの約款が無かったことになるのならば、全額あるいはもっとマシな割合の返金は狙っていけそうです。

さらにもう一つ、

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https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/pdf/public_relations_170329_0001.pdf

勧誘方法に問題があれば、そこを論点として契約を取り消すことができます。プレスリリースやWebサイトを勧誘に含めるかどうかは議論があるので断言はできませんが、可能性はあるのではないかと。

ヴェルテの行いにすると、そうですね。

  • 不実告知
    • 虚偽の住所・偽名の可能性の高いものを特定商取引法表記に掲示していること(特定商取引法違反
    • 日本版でも日本語版でもない製品をそのように宣伝すること
  • 不利益事実の不告知
    • 国内で通常使用に必要とされている技適マークの有無について、商品ページ内で故意に言及を避けること
    • 商品注文フローの中で、気の狂った内容の約款を見せる導線になっていないこと

これらは取消の理由にできそうに見えます。

民法: 遅延、債務不履行に対しては契約を解除することができる

もうひとつ、通販サイト絡みのトラブルで持ち出されることが多い(らしい)のは民法541条でしょうか。

(催告による解除)

第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089#2297

民法541条は、「適当な期限を区切って催告(催促)を行い、それでも履行されなかったら契約を解除できる」というものです。ここで契約が解除されるに伴い、債権者は債務者に対して原状回復のための返金を求めることになります(民法545条)。また履行が不可能であることが明確な場合、あるいは履行を拒否された場合には催告なしでの契約解除が可能となります(民法542条)。

ただしこちらは疑問もあって、法的根拠として十全ではないかもしれません。ヴェルテの債務履行期限は民法412条における2項・不確定の期限であると理解していますが、ここでいう不確定の期限とはガジェットの正規の発売日のことか、それともヴェルテが勝手に定めた発送予定のことか? 後者であればヴェルテが発送予定日を繰り下げ続けていれば「不確定の期限が確定していないだけ」と逃げられる可能性はあるのかもしれない。まあ被害を受けている人はページに書かれた発送予定日すら超過しているはずなので問題ないと思われますが(念のため魚拓は取っておくのがいいでしょう)。

色々ある

詐欺による意思表示は取り消すことができるとする民法96条など、ほかにも幾つかの法に規定があるようです。まあ詐欺と認定されるためには立件というハードルがあると思いますが……。

書きかた

これらの根拠から、どのようなお手紙を書くとよいでしょうか。文案は検索するとけっこう出てきます。

www.bizocean.jp

syouhisya.net

いちおう私が書いたものも置いておきます(上記サイトに倣い、まずは解除・取消をどちらかに限定はしない、としました。キャンセル料については一応「こんなん無効じゃボケ」って書いてる)が、ふつうに上記サイトや他のちゃんとした文案を使った方がいいかもですね。もし使う場合はどれがいいかは読んでから決めてください。

商品の催促(催告)をする場合の文案

14日の期限を設けての催告です。内容はよく読み、適宜書き換える必要があります。

催告に関する通知

(日付署名など)


○○様


○○年○○月○○日に注文し、代金・送料・消費税計○○円を支払った(商品名)につきまして、未だ商品を納品いただいておりません。

本書の到着より14日以内に商品を送付するか、貴業者の確実に実現可能な納期を御提示ください。

万一、以下のような対応によって社会通念上許容されうる商慣習に逸脱する状態が続く場合は、契約の解除(取消)として全額の返金を申し入れます。

  1. 本書に対する有効な返答が14日以上ない場合
  2. 本書への返信で提示される納期に正当な理由がない場合、又は納期を連絡なく超過した場合

以上

催告の後、契約解除(取消)を申し入れる

契約の解除または取消どちらになるのか。これは法的根拠によって異なるので、実際に争う際に何を持ち出すかは後で決めるとして、通知では併記しています。

契約解除(取消)に関する通知

(日付署名など)


○○様


○○年○○月○○日に注文し、代金・送料・消費税計○○円を支払った(商品名)について、現在に至るまで商品を納品いただいておりません。

つきましては先日○○年○○月○○日に送付しました催告書の通り、本契約の解除(取消)を申し入れます。

私の支払いました下記金額を至急返金くださいますよう、お願い致します。


(商品名) ○○円

(口座情報)


なお貴ウェブサイトが「特定商取引法に基づく表記」として記載している損害額、40%ないし100%のキャンセル料は消費者契約法における無効条項にあたるため、全額を返金くださいますよう重ねて申し入れます。


以上

初手から契約解除を申し入れる

こちらは、商品の催促とかいいから一撃で返金要求するパターンの文案。

契約解除(取消)に関する通知

(日付署名など)


○○様


○○年○○月○○日に注文し、代金・送料・消費税計○○円を支払った(商品名)について、現在に至るまで商品を納品いただいておりません。

つきましては本契約の解除(取消)を申し入れます。

私の支払いました下記金額を至急返金くださいますよう、お願い致します。


(商品名) ○○円

(口座情報)


なお貴ウェブサイトが「特定商取引法に基づく表記」として記載している損害額、40%ないし100%のキャンセル料は消費者契約法における無効条項にあたるため、全額を返金くださいますよう重ねて申し入れます。


以上

送りかた

ゲームガジェットをEメールと電話でねじ伏せた方からお話を伺ったことがあるのでメールでも無理ではないと思われますが、特に効力を求めて紙の郵便を使う場合は、特定記録郵便か簡易書留あたりが良かろうと存じます。

問題はどこに送るかです。今まで見てきた感じどうもバーチャルオフィス経由の転送はナメられる、もしくはそもそも転送に対応していないふしがあるので(やっぱり特定商取引法違反なのでは)、株式会社シティの本店登記住所に送るのが有効と考えられます。

舶来ガジェットとゲームガジェットにはそもそも法人登記がないのですが、あの2つからの返信はヴェルテのメールアドレスから来ることを観測しているので、同じことです。

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そこで持ち出すのが国税庁法人番号公表サイト、これは法人の名前や法人番号から所在地情報を調べることのできる超便利なウェブサイトです(法人の登記情報は個人情報ではありませんが、目的外の利用にあたってはそれなりの法的リスクが発生すると思われます。くれぐれもこのサイトやここで得た情報は正当な調査、必要な分の連絡以外には使わないようにしましょう)。登記情報提供サービスではより詳細な登記簿謄本の写しを400円くらいで請求できますが、今回必要なのは住所だけですから、国税庁のサイトで事足りるかと。

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とはいえ同名の企業が強烈に多いので……ここでは直接リンクはしませんが、神奈川県にあり、法人番号が7290801019294のものが、ヴェルテを運営する株式会社シティ(旧社名ドゥモア)です。

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前方一致だと見つけやすい。

もしEメールや電話が全く通じず、催告あるいは契約解除(取消)の意思を物理郵便で示したいのであれば……あるいは長崎市などバーチャルオフィスに送っても無視された場合は、こちらに送るのが確実ではないでしょうか。

まとめ

一般論に寄せるとこんな感じになります。

  • ヴェルテのようなメチャメチャな約款・宣伝の通販サイトの場合、その約款や契約を無効にできる筋があるため全額の返金請求は正当である(または、正当な可能性がある)
  • Eメールでも戦えるが、もし物理の郵便を送る場合は特商法表記にあるバーチャルオフィスではなく(or だけでなく)、法人の本店住所を調べて送る手がある

強要の扇動にならないよう歯切れの悪いところもありますが、今回は以上です。他のオプションとしては振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結の相談などがあり、また機会があれば紹介したいと思います(私も詳しくはないので……)。

ここに書いたことをやるかどうかはさて置き、やはりなるべく消費生活センターと警察には行ったほうがいいと思います。彼らは悪徳業者のデータベースを持っているらしく、相談するとそれが更新される(多いと注意喚起とか捜査とかになる)と言われているので。

「どんなときもWiFi」、終わるのは客のモラルのせいなの?

冬のGレコ以来ひさしぶりの映画館で見た「人体のサバイバル!/がんばれいわ!!ロボコン」良かったですね。凄かったですね。このタイトルは映画公式サイトのtitle要素から引用しましたが、ではタイトルに載っていないスプリンパンとは一体なんだったのか。その5分の映画を説明するには紙面が足りないので君の目で確かめてほしい。上映は終わるが‥‥。

たまたま目に入ったEngadget Japaneseの記事がどうしても気になったので感想文を書きます。小寺氏は個人的に信頼しているライターなんですが、これはちょっとどうかなと思ったので。

japanese.engadget.com

ようするに「どんなときもWiFi」というWi-Fiルータレンタルサービスが事実上畳まれちゃうねという話で、終了の経緯などは概ね記事の通りなので割愛します。

気になったのは、

現在公式サイトに掲載されている資料によれば、「想定を遥に上回るテラを超えるお客様もおり、結果上位5%のお客様で総容量の20%を占める状態」(原文ママ)とあり、こうしたサービスに典型的な「どエラいヤツに見つかっちゃった」パターンであることがわかります。加えて行政指導の内容を踏まえ、「無制限」の看板を下ろさざるを得ないという流れです。

(中略)

やはり無制限がいいという方には他の事業者をご紹介したいところではありますが、「どんなときもWi-Fi」の行き詰まりを見るに、ご紹介したとたんテラ利用勢に見つかり、サービスが潰れてしまいかねません。

(中略)

5Gが主流の時代になったらまた事情が違ってくるかもしれませんが、4Gにおいて「井戸が干上がるまで水をくみ出す5%」と私たち「自分が飲める分だけで十分」勢とのあいだで我慢できる程度の公平感を得るには、どこかに上限を設定するしかなさそうです。そもそもコロナ禍でモバイルもままならない生活になった今、「無制限」パーティは終わった、という事でしょう。

このあたりの論調で。

どこかに上限を設定するしかなさそうです。

↑ ここは同意なんだけど、

「井戸が干上がるまで水をくみ出す5%」と私たち「自分が飲める分だけで十分」勢とのあいだ

今回ばかりは*1そういうことではなくない? 公平とか不公平とか言うなら、そもそも不可能かつ不当な廉売を決行した奴がどうしたって駄目じゃない? トラフィックを浪費しているとされる上位5%のユーザーとやらをちょっと悪者にし過ぎではないですかね。


どんなときもWiFi無制限プランの終了発表を検討してみたときに、

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  1. 現時点でキャリアからの特例的な契約がない限り、本当の意味での誰に対してもデータ容量無制限での利用は不可能
  2. クラウドSIMシステムはデータ容量無制限を提供するものではなく場所とキャリアに縛られない通信環境を提供する技術である
  3. クラウドSIMシステムで、無制限的な状態を提供するためには、精緻な運用とリスクがある
  4. 無制限でサービス提供をしていくと、想定を遥に上回るテラを超えるお客様もおり、結果上位5%のお客様で総容量の20%を占める状態となり、事業の採算上サービスの継続が困難
  5. 精緻な運用のためには、お客様の利用量のコントロールも必要となり、急な低速化や細かな制限などをせざるを得なくなり、無制限とは言い難く、お客様に対して誠実ではなくなる

https://donnatokimo-wifi.jp/pdf/alternative-plan.pdf

上位5%のユーザーのせいにしてISPに同情する人はtwitterでもちらほら見ましたが、その手の擁護は上位5%のユーザーさえ居なければトラフィックをコントロールしなくても無制限SIMが提供できたかもという意図でしょうか。あるいはしっかりコントロールして無制限に運用できていたかもしれない?

無理では?

www.iij.ad.jp

IIJことインターネットイニシアティブが自社発行の冊子Internet Infrastructure Reviewで利用統計を報告してくださっているので参考にしてみましょう。2019年9月号にある現時点で直近のブロードバンドトラフィックレポートです。

利用者間のトラフィック使用量の偏りを見ると、使用量には大きな偏りがあり、結果として全体は一部利用者のトラフィックで占められています。例えば、ブロードバンド上位10%の利用者がOUTの52%、INの82%を占めています。更に、上位1%の利用者がOUTの17%、INの58%を占めています。ここ数年のヘビーユーザ割合の減少に伴い、わずかながら偏りは減ってきています。モバイルでは、上位10%の利用者がOUTの43%、INの47%を、上位1%の利用者がOUTの12%、INの18%を占めています。対象を個人利用者のみにしたことで、昨年までのレポートより偏りが少なくなっています。

1. 定期観測レポート ブロードバンドトラフィックレポート −トラフィック量は緩やかな伸びが継続− | Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.44 | IIJの技術 | インターネットイニシアティブ(IIJ)

固定回線では上位1%のユーザーが下り17%および上り58%のトラフィックを消費、制限を設けているモバイル回線でもやはり1%のユーザーが下り12%および上り18%の通信量を占めるという。5%ならもうすこし広くなるでしょう。むしろどんなときもWiFiのヘビーユーザーは生ぬるかった可能性まであるのでは?*2

「上位5%のユーザー=無制限サービス特有の、通信に著しい影響を与える異常者」という図式がまず無理筋で、この程度の傾斜はどこにも当たり前に発生するように読めます。5%対20%くらいで「想定を遥に上回る」と言うならば、ユーザー全体の通信量が満遍なく多かったか、全体の見通しがとんでもなく甘かったか、サービスを畳む言い訳にしているかではないでしょうか。あるいはその全部か。

ISPの言い訳ばなしにまんまと乗ってしまって‥‥というより、「MVNOで無制限は無理、クラウドSIMでは一層無理」という最大の結論を補強するように存在する4番「採算が合わない」を強調して、「殺到する特殊ユーザーに殺される運命にある無制限サービス」のような論調に持っていくのはいささか強引ではないかと思いました。いや「人が多いと潰れる」というレベルの大まかな話にしたら正しいけどさ‥‥。


もうひとつあります。

そもそもテラ単位使うならモバイルルータじゃないだろ常考、という思いはあります。

記事中にある「テラバイト単位の通信をするなら固定回線を引け」という主旨はまあそうだろうというか、個人的には家庭のインターネットにモバイルネットワークを使うなくらいに思ってはいます(Softbank Airとかも可能な限り使わない方がいい)が、それは一旦置いといて。

japanese.engadget.com

これは同じライター氏が去年の末にどんなときもWiFiを短期的な固定回線の代替として使っているとして、スマートフォンだけでなくPC等を接続していると称揚した記事です。月20GBや30GBでは、あるいは3日で10GBでは足りない(小一時間で10GB消費することもあるとか)という‥‥明言はされませんが、月100GBあたりが安心のための最低ラインかな、という風に読めます。

もっと言えば、動画ストリーミングやクラウドを経由した端末間ファイル転送を頻繁にしていれば、1日平均で10GB(30日なら300GBだ)くらいは扱うこともあるかもしれない。

BackblazeやOneDrive、Google DriveDropboxなどからクラウドバックアップ丸ごとの復元をするような用途があれば、実際テラバイト単位のファイル群をドカンと落とさざるを得ないかもしれない。無制限で固定回線代わりに使う想定があれば、それを悪いとは言えないでしょう(だから「思い」に留めているのは分かるが‥‥)。

私だってこれを読んでいる人だって誰だって、固定回線同様の使い方をする限りは、いつ止むを得ず数百GBあるいはTB単位の通信をするか分からなくはないですか。私は使っていませんが、無制限SIMというものを契約する人はそのどこにでもあるかもしれない当たり前の "巨大" な通信のために安心を買っていたのではないか。月間でテラバイト単位の通信を殊更珍妙で悪質かのように扱うのは、だからちょっとおかしな話で、ISPの釈明にせよEngadgetの追従記事にせよ、若干誘導めいていないかと感じます。

言っちゃあなんですが、当事者意識が薄い気もするんですよ。仮に個人々々による輻輳がどんなときもWiFiを殺したとしたら、氏を含む固定回線的ユーザーの集合が輻輳を後押ししたか、あるいは「固定回線的に使えるぞ」というリコメンドがヘビーユーザーを呼び寄せた可能性はないのかと。まあ先に書いたように個人々々の問題ではないのですが。

こうしたサービスに典型的な「どエラいヤツに見つかっちゃった」パターンであることがわかります。

更に野暮を言うなら、MVNO事業において利用者の拡大に設備投資が追いつかないことが多いのはとっくに分かっている(MVNOは遅いのではなく、遅くなるものだ)くせに、トラフィック総量の少ないうちに飛びついて「MVNOでも快適! 今すぐ契約しろ!」と煽り倒すメディアもひどく典型的ですね。最近は見なくなりましたけど。


冒頭に挙げた文をもう一度引用してまとめましょう。

5Gが主流の時代になったらまた事情が違ってくるかもしれませんが、4Gにおいて「井戸が干上がるまで水をくみ出す5%」と私たち「自分が飲める分だけで十分」勢とのあいだで我慢できる程度の公平感を得るには、どこかに上限を設定するしかなさそうです。そもそもコロナ禍でモバイルもままならない生活になった今、「無制限」パーティは終わった、という事でしょう。

少なくともどんなときもWiFiに限った話をすれば、ユーザーあたりの通信量ではなくISPとしての通信量プールを遅かれ早かれ制御し切れずに無制限プランを潰すのが既定路線だった、というのが、上の報告書と総務省による行政指導に対する再発防止措置報告に書かれたことだと思います。

「無制限」パーティは、クラウドSIMを売り込んだ代理店と、口車に乗った零細事業者による虚業として始まりました。そしてクラウドSIMは無制限を提供する仕組みではないという当然のボタンの掛け違いと積み上がった運用の瑕疵によって終わるべくして終わります。まあ直接的にはソフトバンクの契約変更のせいなんだけど(やっぱり客のせいではないのでは?)。

そのような中で客のモラルに線など引いて、自分の使う通信量については自分が使う分だけだから良し、線を超える通信はやべーやつの所業だから悪し‥‥なんて都合のいいことを、少なくとも業者擁護の文脈で言うもんじゃないと思うんですよ。もし今回のことが不公平によって発生したと信じるなら、責はISPにあるものと思います。今回は。

常識を振りかざして殴りに行くならユーザーより先にISPになるようなところで、何をつまらない忖度をしているのか。「テラ利用勢」の「どエラいヤツ」という掴みどころのないロールモデルで利用者を切断して魔女狩りじみた当てこすりをするのは、言ってしまえばサービスを乗り換えさせられた八つ当たりみたいに見えてしまうじゃないですか。まして紹介記事まで書いた人が(書いたからこそかもしれないが)‥‥。


‥‥ということを思ったのですが、サービスを乗り換えさせられた当事者に対して心ないことを長々と書きすぎました。以上です。

*1:OneDrive無制限プランやAmazon Cloud Drive Unlimitedの終了については個人的に思うところがある、後者は使っていたので‥‥。

*2:無制限と言いながら実は帯域制限が掛かっていたらしいので、ヘビーに使い切ろうとしても不可能だったのかも知れませんが。

Fx Kanji Mod ドキュメント

画像をペタペタ貼ったドキュメントをリポジトリに入れるのもためらわれたのでblogに置きます。

目次

これはなにか

Android端末F(x)tec Pro1のキー設定に追加・変更を行う拡張キーボードレイアウト(Key Character Map)ファイルです。

配布サイト

play.google.com

github.com

Google Play Storeか、GitHubReleasesに置いているapkファイルからインストールできます。

設定方法

インストールすると、Fx Kanji Modパッケージとして以下の9配列が追加されます。

  • F(x) Kanji Mod[FxQwerty]
  • F(x) Kanji Mod[FxQwerty][記号Shift]
  • F(x) Kanji Mod[FxQwerty][Fn+Tab調整]
  • F(x) Kanji Mod[FxQwerty][記号Shift][Fn+Tab調整]
  • F(x) Kanji Mod[MetaKey]
  • F(x) Kanji Mod[MetaKey][記号Shift]
  • F(x) Kanji Mod[MetaKey][Fn+Tab調整]
  • F(x) Kanji Mod[MetaKey][記号Shift][Fn+Tab調整]
  • F(x)tec Pro1 Qwerty - Default

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f:id:appalerm:20200728054212p:plain

同梱しているアプリケーションから「物理キーボードの設定」を開く、または「設定 → 言語と入力 → 物理キーボード」を開いて機種名の行をタップすると、任意の物理キーボードレイアウトを追加・選択できます。

マッピング内訳

ベース [FxQwerty]

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Fx Qwertyをベースに、Symキーの半角/全角への置き換えなど細部の調整を行ったキー配列です。

ベース [MetaKey]

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上記に加え、Fx LogoキーのMETA_LEFT(ボイスアシスタント)への置き換えなど追加の調整を行ったキー配列です。Androidの基本機能「キーボード ショートカット ヘルパー」が有効になります(画像の赤字)。

オプション [記号Shift]

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Shiftと数字・記号の組み合わせで、黄色(Fn)で刻印されている記号を入力できるようになります。

オプション [Fn+Tab調整]

Fn+Tabを押した際、タスク切り替え画面の動作を変更します。

Fnを押したままTabを2回押したとき、このオプションが無い配列ではタスク切換え画面を閉じますが、調整版では順繰りに次のタスクへと移動します。

内部的にはFnの割り当てを全て右Altとスワップし、Fn+TabをAlt+Tabに置き換えることで実現しています。このため環境や設定によっては、キーマップソフトやIMEなどの挙動が変わる可能性があります(例えばこのオプションでのみ、Google日本語入力起動中にFnで絵文字パネルが開きます)。

主な機能追加

[Sym] 半角/全角キーへの置き換え

配列表の画像の通り、すべてのレイアウトでSymキーは半角/全角 漢字に置き換わっています。IME起動中に押すことで、対応している環境では入力モードが切り替わります。

[Esc] Backキーへのフォールバック

Esc刻印のキーはEscapeとして動作しますが、アプリケーションがEscに反応しない場合はBACKキー(戻る)として入力されます。

[Fn] PageDown/Up、Home/End

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Fnキーとカーソルとの組み合わせに、ノートPCライクなPageUp/PageDown/Home/Endを追加します。

[FxLogo] or [Ctrl+Fn] ファンクションキー、音量、メディア操作

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F1-12、音量調節、再生・停止などをキーボードに追加します。FxQwerty配列ではFxロゴキー、MetaKey配列ではCtrl+Fnとの組み合わせに割り当てられています。

ただしF5とF6については画面クローズ・画面オープン動作が連動・優先するため、押すとソフトキーボードのオンオフが行われ画面が90度回転します。英字カタカナ等の変換操作はCtrl+U/I/O/Pを使うのが無難かもしれません。

[Alt] デッドキー、戻る/進む

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Altは一部記号に対してデッドキー(AltGr)として機能し、特殊な文字や記号を入力します。

また、内部でFnとAltをスワップするオプションの都合上、Alt+左右カーソルキーは明示的に戻る(BACK)と進む(FORWARD)に割り当てられます。

[FxLogo] アプリケーションショートカット

[FxQwerty]

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FxQwerty配列ではFxロゴ(内部的にはHomeから右Altへのリマップ)との組み合わせとして、KEYCODE_EXPLORERなど汎用アプリケーションの起動するキーを独自に定義しています(参考:キーボード デバイス  |  Android オープンソース プロジェクト  |  Android Open Source Project)。

[MetaKey]

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MetaKey配列ではFxロゴ(内部的にはHomeから左Metaへのリマップ)との組み合わせを特に指定しない代わりに、Androidシステムに定義されたキーバインドによって一部のOS操作やアプリケーションの起動などができます。

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物理キーボードの設定から確認できる、「キーボード ショートカット ヘルパー」の検索キーがこれにあたります*1

[Fn][Alt] バックライト制御

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Fn+Spaceでキーボードライトが点灯します。これは画面オープンのイベント(F6)と等価です。

また、Alt+Sym(半角全角)をPOWERに割り当てているためキーボードからWake/Sleepできます。

補足

キーの組み合わせに任意のアプリや動作を割り当てたい

複数キーを監視して動作を割り当てるアプリを併用すれば、内容次第では可能です。

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例えばKeyboard/Button Mapperは複数キーの押下や長押しを拾えるので、Blackberry KEY2のSpeed Keyに近い操作を実現できるのではないかと思います。

[ESC][半角/全角]など、単体のキーで画面を点灯したい

おそらく根幹のキーレイアウトを書き換える必要があります。私も実践していないのとユーザーデータの消失リスクを伴うのでヒントに留めますが、Linage OSやカスタムリカバリによるシステムファイル書き換えを検討してみてください。Generic.klを操作できる場合、WAKEまたはWAKE_DROPPEDを追記できればいいはずです。

*1:未記載のショートカットとして、Ctrl+Fn+Sでのスクリーンショット撮影などがあります