eps_r

本blogはGoogle AdSenseおよび各種アフィリエイト広告を含みます

「史上最悪のクラウドファンディング詐欺」Dragonfly Futurefon事件に有罪判決が出ていた

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」良かったですね。自分の今まで見てきたゴジラ映画ではいわゆるVSシリーズの比率が高かったせいか「80~90年代ゴジラ映画が脚本の粗ごと巨大になって帰ってきた‥‥!!」という印象です。めちゃめちゃ面白かったけどたぶん怒る人は怒る。

これまでのDragonfly Futurefonは

ゴジラはさておき、かつて当blogでは画面の半分が外れてAndroidになったり、キーボードごと4つに折れたりする異常変形WindowsノートDragonfly Futurefonという架空デバイス詐欺クラウドファンディングを紹介したことがありました。

eps-r.hatenablog.com

もう3年ほど前のことですが(このblogは休み休みとはいえ3年も詐欺の話をしているのか‥‥)このなんだかすごい感じは中々ないので、もう一度動画と活躍予想図を念入りに貼っておきますから上の記事は見なくていいです。

www.youtube.com

f:id:appalerm:20160514015208p:plain
基本形態では左右2画面のWindowsマシン(左右2画面のノート自体は前例がないでもない)。

f:id:appalerm:20160514021100j:plain
そこから向かって右の画面をAndroidタブレットとして着脱可能。

f:id:appalerm:20160514015959p:plain
右画面を逆向きにセットし、スタンド付きタブレットのように使うこともできる。更にキーボードには "折り目" が付いていて‥‥。

f:id:appalerm:20160514020515p:plain
はい

f:id:appalerm:20140429125758j:plain
四つ折り状態のトラベルモードは非常にコンパクトであることでしょう。

f:id:appalerm:20141019113820j:plain
1つのSIMで分離状態のどちらからでも4G通信が可能。Android Tabで通話しているあたり、Windows側がテザリング子機となる想定だと分かります。

f:id:appalerm:20160514021618j:plain
One more thing、ヒンジの裏にBluetoothヘッドセットまでついてきます!

すごいですよね、本当に出るなら欲しくなっていたかもしれない。使い道はよく分からないけど。

indiegogoで72万ドル余を集めたこのDragonfly Futurefonの何が問題だったかというと、

  • Core i7-3537U + Snapdragon 820のデュアルシステム、彼らの言うところの "3-in-1" という新しくも複雑な端末が$300(キャンペーン価格)~$800という不自然な安さ
  • 3年経っても機構プロトタイプひとつ出てこない進捗の遅さ、しかも稀に出てくる進捗状況の写真や動画はフェイク
  • 「うまく出荷できたら出資者にはベータテストのお礼として99%返金します」キャンペーンをクラウドファンディングの初期段階から宣言

要するに全部がだめでした。今回の記事タイトルは2016年当時から上がっていたThe Worst Crowdfunding Scam Ever: The Story of the Dragonfly Futurefönという英語記事(このAuthorこれ1つしか記事無いんだけど、どういうアカウントなんだ?)から拝借しましたが、首謀者の最悪さもさることながら、かようにボロボロなものが大金を集めてしまうというクラウドファンディングバブルとこれを放置したindiegogoの無法ぶりもやはり最悪だったかもしれません。審査とか無いのか?

これを過去に紹介してから色々あり、FBIを含む米国の当局が動いているらしいとか、特に今年(2019)あたりはいよいよ裁判になったとかの情報をRedditやindiegogoのBBSなどで仕入れていたのですが、ふと情報集めをおろそかにしていた隙に1ヶ月半も前に判決が出ていたことを知ったので今回はそれをお報せしたいと思います。

首謀者のジェフは13年間で570万ドルを集めていた

国司法省のニュースリリースが以下。

www.justice.gov

シリコンバレーのコンピュータ企業経営者、クラウドファンディングで投資家をだまし有罪」といったところでしょうか。機械翻訳ほかのニュースも参考にしつつラフに要約すると、

  • 2019年6月4日、Jeffrey Batio(カリフォルニア州サンタクララ、50歳男性)はイリノイ州での裁判において、6件の郵便詐欺と6件の電信詐欺の合計12件すべてで有罪となった。それぞれの詐欺は最大で20年の懲役刑となるため、理論上は240年の懲役を科せられる可能性もある。刑は9月3日に言い渡される(判決の確定は10月に延期され、その後更に12月、翌年の2020年5月、10月と再スケジュールが続いています)
  • 2003年から2016年までの13年間を通じて、Jeffは自身の主張するマルチスクリーンPCあるいは3-in-1デバイスが完成から程遠く、定めた出荷期限を守れない状態にあることを知りながらも「まもなく市場に投入できる」と偽って集金をおこなっていた。
  • 時系列としては、2003年から2014年までに、Jeffは自分が代表をつとめるArmada Systems LLCの株式を会員に売りつけるかたちでマルチスクリーンノートPCの先払い代金として500万ドルを調達。この開発や会社が立ち行かなくなった後の2014年以降はindiegogoに拠点を移し、idealfuture社としてif convertibleというPCで金を集め、翌年音沙汰のないまま全く同じ外見のDragonfly Futurefonで更に出資を募り70万ドル以上を集めた。ここから分かるだけでも被害額は570万ドル以上

こんなかんじか。

indiegogo以降の2~3年で72万ドル以上を集めた時は正直なところ「まあ日本でいうMorphyOne事件くらいの被害額だよな、どこの国も苦労するなァ」と被害者でもないのに上から目線でしたが、しかし2003年からというArmada Systemsの期間と額が心胆寒からしめてくれました。約10年でファイブ・ミリオン・ダラーかよ。よく捕まらずにDragonfly事件を起こせたものです。

「マルチスクリーンPCおじさん」ジェフに思う

f:id:appalerm:20141019221717j:plain

Jeff Batio氏の最初のマルチスクリーン仕事はXentex TechnologiesのFlip-Pad Voyager(これも過去に訴訟沙汰になっている)、こちらの発表が2001年頃だそうで、現在50歳のジェフは30代から40代までのほぼ全ての18年以上、およそ半生といってよい期間をマルチスクリーンPCとそれに関する法的処理に捧げていたことになります。

多画面PCという身の丈を超えたアイデアに憑りつかれて長年多くの人を巻き込んでしまった人なのかなあ‥‥という想像もしてしまい、それはそれでつらさがありますけど、仮に本当に人を騙して遊んで暮らす算段だったとしてもやはり悲しさというか、やるせなさがありますね。

それはどういうことかというと、仮に単なる詐欺だったとしても、人をだますアイデアの根本は10年以上変わらない、ライフワークだったということです。まあトレンドの移り変わりは時にゆっくり或いは周期的になるもので、通用するにはするでしょうが、だとしても、同じことに固執するしかないのかな? もっとうまくやれなかったんだろうか? 人間20代までに配られた手札でやっていくしかないのか? という疑問が涌いてきてしまう。

eps-r.hatenablog.com

前に調べたレッドスター社(前・カモンクリエイティブ)松川氏にしてもそうで、公開プロフィールによれば現在40代後半の彼も、30歳ごろまではカモンミュージック社などで輸入機器やソフトウェアの営業販売をしていたサラリーマンだったわけです。独立後そのノウハウや人脈を使ってかPC・PCパーツの仕入業をしていたのがいつの間にかヤフオク詐欺になり、その後も大口をたたいては広告業や音楽配信や漫画ビジネスなどを始めたり止めたりそもそも始められなかったりして、けっきょく今は実業家として名を上げることを諦めて、もう10年ばかし面白デジタルガジェット中心の(詐欺まがいの)転売業に落ち着いてしまっている。

なんでしょうね、継続は力なり、いや、水は低きに流れる、でしょうか。私も無限に意識が低くて出来ることしかやれない人なので大層なことは言えませんし、もしも「これしかできない」「こう生きていくほかない」という生業が、生き方がどうしようもなく他人を不幸にしてしまうなら、世間や本人はどうすればいいんだろう、というようなことを思ってしまいました。

意外と暗い話になったのでこの辺にしときましょう。

クラウドファンディング詐欺、まだまだ居ます

Dragonfly Futurefonは本物の刑事事件になりおおせました。ではこの事件以降、制度や雰囲気としてクラウドファンディング詐欺が無くなったかというと、そんなこともなかったですね。

www.indiegogo.com

モスト・パワフル・ポケットサイズド・ラップトップ? またindiegogoかよ。

2018年に発表されたこのMi Mini PCという小型厚型タブレットとでも言うべきマシンは、筐体デザインが他社製品GOLE 1のコピー、出資額があまりにも安すぎる(ストレッチゴールでAtomをCore m3に変更? 中身が違いすぎでは)、公式Webサイトの写真がフェイク、などさまざまな怪奇をはらみつつも約150万ドルの集金に成功し、本邦でも上のように少数の商業メディアが取り上げました。

webnetforce.net

集金期間中の指摘としては上記blogがよくまとまっています。

2018年9月頃の出荷予定だったMini PCプロジェクトは昨年12月、遅ればせながらというニュアンスで架空の出荷連絡をおこない、ただのひとつの着荷報告もないまま消息を絶ちました。

Merry Christmas to everyone. Enjoy your holiday with your family!

Mi Mini PC Team

The Most Powerful Pocket-Sized PC Laptop Win 10 | Indiegogo

Enjoy!!!

まとめ

あたりまえのことですがクラウドファンディングは売買契約ではなく事前の出資です。事故や人災・天災による思わぬプロジェクト中断があったとしても、たいていの場合出資した金は戻りません。

そして変な購入代行業者を挟むまでもなく、単なる詐欺や、品を完成させる資金・能力の足りていないプロジェクトも少なくないわけです。皆さんもたまに気をつけてくれるといいなと思いますし、少なくとも他人に拡める前にはちゃんと調べてみることをお奨めします。