あけましておめでとうございます。2018年も丸10日以上過ぎてから2017年の話をします。
見たやつで書いてないのを思い出したら随時追記します。
1月14日「ポッピンQ」
前年の大晦日と2017年1月で2回見た。
井澤詩織の演技がとてつもなくよかった。日岡アンプリフィケーション蒼を生み出したというだけでじゃんじゃん加点してしまう。キャラも美術も音も大層良くて、特に未熟なダンスを3DCGIで表現するシーンはキャラごとの個性も出ていて好み。
一方でどうもお話が何というか「『何もできないまま大人になった後悔をお前にも味わわせてやる!』→老化ビームだ!」とか「同位体は何でも知ってるから話が早くて助かる」とかの身も蓋もない感じがまだら状に全編に渡っていて(身も蓋もなさが良い方に作用していることもあり、空中脇固めがさく裂したりする)、即物的になったり寓話的になったり、異世界とはいえ振れ幅が妙な感じだった。話に省略でもあったか感情の流れを捉えづらかったり、悪い意味でストーリーボード先行っぽく、ガチャガチャしているような。
「お前も寂しかったんじゃ~ん」みたいなノリで急速にウザ絡みを始める黄色の子はキュアピースって感じでちょっと懐かしかった(東映だからってそういう感想はどうか)。キャラの造形やラストに至る道筋としては特に文句はなかったと思う。
ラストというのはスタッフロールまでのことであって、後のおまけ映像ははっきりいってどうかと思うが、京騒戯画のように2020年か2021年くらいに東映の意地をみせてテレビシリーズで凱旋してほしい。劇場連作でもいい。
2月13日「君の名は。」
縄、縄言ってたら本当に縄の話でびっくりしたよね(紐だ)。
絵はきれいだった。新海誠作品を他にロクに見てないので、ラストが明るいくらいのことで日和ったと言われてしまうのは凄えなと思う。
2月20日「ソードアート・オンライン オーディナル・スケール」
電撃文庫の劇場アニメってオリジナルの歌姫がよく出てくるもんなの‥‥?(前に見た電撃文庫劇場版が禁書目録だった人)
ボトムアップAIとか記憶を集めるとか黒の剣士に立ち戻るキリト氏とかプレ4部じゃん! と思って見ていたら4部をやる気満々の終わり方をしたのでやっぱりプレ4部だった。過去作のキャラに今後映像化される要素を部分的に交えたお祭り映画みたいな趣が多少あると思う。
ARやARゲームを動かすことの諸問題について、
- 法や市場の問題について:才能ある奴が害意を隠して頑張ってしまうと、法や市場は弱い
- 未装着者や近隣とのいざこざについて:近未来社会では外を出歩く人がめっちゃ少ないのでは
ということで解決できるかな、と思ったけどそんなわけあるかという感じで、ここら辺はどうしても厳しかった。
要するに、いち新興ゲームアプリが恵比寿ガーデンプレイスや秋葉原UDXの前を安全に利用できるのか? 暴れるゲーマー達って傍から見れば危険人物じゃないか? という所に限界を感じてそこは乗れなかったという話で、まあゲーム以外でのAR利用シーンを多めに入れたり、キリトと教授に先回りして問題を語らせたり、「作中VRと作中ARでは作中ARの方がむしろ簡単なのでは」という問題提起と回答を何度か織り込んでみせたりと、いろいろ外堀を埋めにかかっているのも分かるんだけど。
あと、やけにネットリと喋る屋良有作だなーと思って見ていたらスタッフロールに鹿賀丈史と書いてあってビビった(そういえば予告でもそんなこと書いてあった気がする)。似てると思うので万が一TV版4部に再登場する時に鹿賀丈史を呼べなかったら屋良有作をあててみてほしい。
4月1日「映画プリキュアドリームスターズ!」
特報の時点で宮本浩史監督作品だろうと思っていたので見に行かざるを得なかった。2Dも3Dもよく動くし面白かったと思う。若干子供向けのための子供向けみたいなとこは感じるけど好みの問題だろう。
誤解から戦闘になりかけるところなどで東映特撮的な意味での春映画らしさも持ち合わせているのは良くも悪くもという感じ。一方で、様々な方法で第四の壁を貫通しにかかるのは前例を踏まえつつ更に推し進めていると取れるし、こちらは好感が持てた。
4月1日「劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!」
恐怖イオンシネマの奥地に聞こえるか聞こえないかくらいの声量でブツブツ独り言を漏らす男性客は存在した!(映画と関係ない)
柳沢慎吾が星人を撃ち、ウルトラマンに倒された星人の飛行円盤が「A BA YO!」の看板の向こうに墜落し、街を去るウルトラマンを仲間達が「あばよ!」と見送るかつてないほど柳沢慎吾フィーチャーな恐ろしい映画だった。
応援上映的なギミックは見た感じ子供にウケてない様子だったけど、これは映画館のスクリーンや音響によって変わってくるかもしれない。どうでもいいけど本作の応援ギミックは時期も時期だしどの辺の文化から来たのか測りかねるとこがあるな。
4月2日「仮面ライダー×スーパー戦隊 超スーパーヒーロー大戦」
春映画というタームに恥じぬ立派な春映画だった。あるいはいつにも増して夢小説(ドリーム小説。あなたの名前を入れよう、みたいなWebコンテンツ)みたいな内容。
春映画は、代替可能な敵、代替可能な味方、代替可能なキャラクターを充てがう埋め草みたいなシーケンスを入れることがあって、それ自体はスケジュールの厳しさを感じること以外には然程文句は無いけど、当年のモチーフがよりにもよってゲームなもんだからそれが最高の(または最悪の)噛み合わせになってしまい、エグゼイドくんがゲームの世界に入って味方ガチャを引き始めてしまった。
それだけだったら皮肉が効いてるだけで済んだが、「ゲームの中には何もないから現実に帰ろう、ゲームキャラだって生きた人間のことを心配しているんだよ」という主旨の作中台詞と見比べたときに嫌な相乗効果を発揮した感がある。確かにあってもなくてもいいような代替可能なシーケンスになっちまう程度のゲームにいつまでも居ることはないよね‥‥とか、自我の薄いゲームキャラ(ゴロちゃんの幻影を追ってうわごとをつぶやく北岡弁護士など)は特に少年のこと心配してなかったよね‥‥とか‥‥。
4月16日「ゴースト・イン・ザ・シェル」
まともに触れたのがプレイステーションのアクションゲームくらい、不真面目に触れたのがSACくらいだったので、直前に原作と押井版をやってから見た。
「ハリウッド映画のゴーストに押井のシェル。士郎正宗テイストは予想通りハブられた」という印象。押井版をベースに場面場面をトレースした上で意図や流れを組み換えるということが何度か行われているんだけど、押井守からして既にそれをやっているので、殊更怒るほどのことでもないか、あるいはそれで怒るなら押井版にも同様に怒ってもいいんじゃない? という気持ちだ。
ハリウッド映画のゴーストがインストールされたこと自体については元々原作や押井版への向き合い方がクリティカルでないので、まあいいんじゃないかオール・ユー・ニード・イズ・キルだってああなるんだし実写映画には実写映画のやり方があるだろうくらいの心持ちだった。
オープニングクレジットにあった "BEAT" TAKESHI KITANO という表記は北野武の宇宙一カッコいい書き方なので今後どこかで使っていきたい。
5月「マーベル・シネマティック・ユニバース フェイズ2まで」
Huluがはっぴょんになるくらいの時期、MCUを豪勢に開放していたので見れるとこまで見た。
フェイズ1。
- アイアンマン。TV放映とかで何度か見てたけど「スタークにだってハートはある」とかのベタなやつが好き。2のフューリーの言う「ハートの問題」とか。
- インクレディブル・ハルク。謎の拳法や呼吸法の要素はアベンジャーズで役者が変わると同時に無くなったんだろか。レナード氏(ベティと付き合ってた男)が「あの怪物は男であろう」と将軍を諭すところが良かった。あと技名を叫ぶところ。
- アイアンマン2。見てる間は面白いけど見終わった瞬間に「これアベンジャーズへの繋ぎなのでは‥‥」みたいな気持ちが生まれる。
- マイティ・ソー。つまらなくはないがあまりグッと来ない。
- ファーストアベンジャー。後半失速する感はあるがフェイズ1では一番好き。この世には戦時国債の出てくる作品と出てこない作品がある。
- アベンジャーズ。単体映画が「ヒーローと外界の関係」で映画を成立させてきたところにアベンジャーズでその柱を「ヒーロー同士の関係」に一変させていて、まったく違うものを見ている気分になる。語弊のある言い方をすると今までで一番東映っぽい。終わった後は「アベンジャーズ モソモソ」で検索した。
フェイズ2。
- アイアンマン3。社長とポッツがああだこうだ言い合ってからニッコリするのも段々面倒くさくなってきたところで、完結するんならまあいいんじゃないか、くらいの感想。あまり刺さらなかった。
- ソー: ダークワールド。相変わらず地上でどったんばったんするところはあんまりなんだけど、他世界でスペースオペラみたいなことやってる中盤くらいまではだいぶ好みだった。カメオ出演のためにクリス・エヴァンス呼んだの‥‥。
- ウィンターソルジャー。劇場公開中に唯一見てるMCUなんだけど理解度を上げてから見るとすべてが新しくてよい。
- ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー。フェイズ2では一番好き。スカッとする。
- エイジ・オブ・ウルトロン。面倒事を「洗脳だから仕方ない」「社長はアレだがいま社長を責めても仕方ない」に集約することでアベンジャーズ1よりもだいぶカラッとしてたような気にさせるのは剛腕。「ラングェーィジ(言葉が汚いぞスターク)」と言ってしまって以降延々煽られるキャップがかわいかったり、ムジョルニアの持ち上げ方で与太話をしてるところとかのキャラで間が持っちゃうあたりも強い。
- アントマン。フェイズ2で二番めに好き。ダメなやつがやっていくオリジンって意味ではGotGに共通するところもあるか。「アベンジャーズは街を持ち上げたり下ろしたりするので忙しい」のくだりが好き。
原作はまったくと言っていいほど知らないんだけど、MCUは複数ラインを同時進行させつつ数カ年計画(もう10年目‥‥)で設定・脚本をコントロールしていて、金もあるんだろうけど金だけでは出来ねえことだなあとつくづく感心する。
6月5日「夜明け告げるルーのうた」
とても良い。
話の盛り上げ所はもっと前か後にあったと思う、そもそもカラッとした内容の話だったと頭では思っているのに、画と歌が涙腺を殴りつけてくる。湯浅政明の映像はしばしばドラッグみたいに言われることがあるけどちょっと違う意味でそれを実感させられた。
6月11日「KING OF PRISM: Pride the Hero」
製作側も続編ができると思ってなかった割には前作のおまけ映像(予告)は本当に真面目に作っていたらしく、予告どおりのプロットだった。私はてっきりあんなもの全部ウソなんだろうと何故か思い込んでいたんだが。
個人的には『ワタル』オマージュにつけ「クロス、いや涼野!」のリテイクにつけ、井内秀治への追悼の思いを見て取った。
ほか。
- 「間も空いたしもうみんなレインボーライブくらい見ただろ、なんならプリティーリズム三部作見ただろ」くらいの勢いで色々なものが飛んでくるけど菱田監督なら許すよ。
- かずおは男を上げたね‥‥。
- 外国のシーンで柿原徹也の英語が周りの外国人よりも流暢っぽく聞こえるのがよかった。さすが帰国子女。
- 速水ヒロの話がひとまず終わったような体だけど明らかに何らかの布石を打っておいたの何なの‥‥。
7月23日「ジョン・ウィック チャプター2」
つづく!
ウィック氏は「身体が動く限りたたかう」というファッキン・ウィルの持ち主なんだけど、あの世界のプロフェッショナルにおかれましては全員ファッキン・ウィルを持っているか、または対手がファッキン・ウィルを持っているという仮定のもとで動くので、「頭に銃弾を当てるまでは死んでない」という原則が防弾装備の有無に関わらずありそう。
7月24日「パワーレンジャー」
人種や裕福さ、同性愛に発達障害などさまざまに異なる5人が集まってマイティにモーフィンするかと思いきやなかなかゴッゴッパワーレンジャーせずに青春ドラマを展開するのは、力を行使するには人格が伴わねばならないからでした。
フッ、人間ってやつは、力の使い方を知らない、エゴイスティックな動物だからだろう。
ブレンパワード 第14話「魂は孤独?」
戦隊のスーツが嫌いなのかな、ともチラリと思うが(そういえば名乗りも無かった)、まあ先に強さを手に入れて人格が伴わず苦労する話だったらそれはそれでパターンだし、こういうのもいいんじゃないかと。続編があればもっとスムーズだろうし。続編があれば。
ただ、さすがに合体シーケンスもなくトランスフォーマーをヌルっとさせたようなメガゾードが出てきた時にはダサいと思ってしまった‥‥。
好きなシーンはカマロ蹴ってソーリーバンブルビーとほざくところと、レンジャーの色が決まるところで黒人が「おい、ブラックは僕の色だぞ!」ってナチュラルにぼやくところ。
7月27日、7月29日「魔法少女リリカルなのはReflection」
ガンダムシードみたいなやつが出てきて、つづく!
いやー面白かった。今までがTV版のリメイクだったので、今回初めてリリカルなのはの映画を見たなーという満足感があったかもしれない。前後編の前編だけど。
話は大体いつもの「本当に悪いやつはあんまり居なくて、事情のあるやつが事情のあるやつを操って襲いかかってくる」みたいなところに収まりそうなので、後編で異世界先史文明の回想シーンが2時間20分(予想)中の55分くらい入ってきそう。
大物オーラを纏って現れたシュテル氏がレイジングハートと別行動取ってるはずのなのはに負け、早速格が落ちてて可哀想に思った。フェイト(紅白歌手)はあんなちんちくりん(紅白歌手)相手にお母さんと紅白歌手(紅白歌手)の力で何とか押し切ったのに。
あと、異世界テクノロジーで空中に投影された写真に現代の地球的なデジタルノイズ、光学センサのノイズなのかJPEG調の圧縮ブロックノイズみたいなのが乗っていたことに勝手に衝撃を受けた。古びた写真の表現はここまで来たのか! だがそれがそこに来ていいのか。あちらはスペースコロニー時代の御方ぞ。
あと作品外の話。
- 入場者特典でフィルムを配っているのかと思ったら「フィルムコマ風名場面しおり」みたいなやつでガッカリした。なんでそういうことするの(安いから?)、音声込みでフィルム焼いて無作為に切って時々映画泥棒が混ざるくらいでいいんじゃないの。
- 週替わり映像は1と2を見たけどどちらも精神が体調に影響するほど厳しいコンテンツだった。週替わりで、5分でわかるリリカルなのはみたいなコーナーを、時折キャラの真剣な感情を交えつつ、何より映画の最後に入れてくるのは全てがバグってるんじゃないか。劇場版1st, 2ndのキャラクターコメンタリーの寒さが濃縮されたような体験だった。リリカルなのはの製作側はときどき真顔のまま公共事業のような冷徹さでああいうのを投げつけてくるので付いて行けないことがある。
- 初週はただでさえ週替わり映像で目減りしたテンションが、劇場外の「ハルトマンはまずいですよ、ハルトマンは!」と大声でしんどい感想を述べるオタクによって更に半分になった。
10月8日「ダンケルク」
ふつうにまじめに面白い映画だった。あまり言うことがない。
水は怖い。
10月22日「ガラスの花と壊す世界(2016)」
Netflix経由。
あんまり先行作品の話してもしょうがないんだけど、負けで終わったゼーガペインか、途中で終わったマップスみたいな話だった‥‥。
VIOS(Violet OS - ヴァイオス)や環境管理システム mother.exe 管!理!開!始!とかの面白ワードが開始3分以内くらいにブッ込まれてくるのはリアリティの受容をどこにセットするかという意味で役に立った。劇中のプロパガンダ映像くらいの扱いなんだろうけど、あそこだけ1996年から2001年くらいの古さになってない?
12月26日「ジャスティス・リーグ」
強い! 絶対に強い!
マン・オブ・スティールもBvSもワンダーさんも見ないまま行くのもどうかと思ったんだけど、この頃は忙しさに精神の均衡を失いかけた結果どうしても映画館に行かねばならん気持ちになったので戦車道・仮面ライダー・リーグの中で最も上映終了の近かったリーグさんを選んだ。
なのでザック・スナイダーの映画観たことなかったんだけど、それでも、これもうほとんど後任のウェドンの映画になってない? アベンジャーズじゃない? という感想にはなった。
しかしモノクロのSマークはシビれた。冒頭インタビューとこれがあるお陰で一撃でマンの馴染みかたが分かる。