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GPD WIN 2雑感、前世代との比較を中心に

Ready Player One良かったですね。こき使われたアラン・シルヴェストリの感想を聞きたい。

GPD WIN 2はこっそり初回募集分をBackしており、最近来ました。

3月あたりから前のやつ(GPD WIN初期型)が半田クラックらしき症状で起動後5分せずにハングアップするようになったので、性能比較めいた記述はほぼ記憶と勘に基づきます。

まとめ

総じて良くなりました。特に当時から非力非力と言われてきたCPUとストレージの2大ボトルネックがかなり底上げされたため、ゲームインストールやWindows Updateのようなタスクが無理のない速度でこなせるようになり始めたと思います。

まあ開発元の言うCore i7に匹敵するだのAAA-Game Consoleだのは誇大広告ですが。しょせんm3です。

  • 良い点
    • 外装、画面、ファームウェア、ボタン類、スペックなどバランスを保ったまま全体的に少しずつ良くなった。上がった価格が正しく製品に反映されたと思える
  • 難点
    • とはいえ高くなった
    • 「カーソル左」「PageDown」「End」が散在するキーボードエミュレーション時のパッド配置は意図を汲み取りづらい
    • 外形デザインが微妙
    • 重量増
    • ショルダーボタンがうるさい
    • 放熱ファンがうるさい
    • 満充電時のコイル鳴きがうるさい

以降はそれぞれの点をあげつらいます。

外装:高級感とダサさが同居しつつ重くなった

光沢塗装だった天板は他の個所と同様の半光沢になり、つや消しの度合いが強くなりました。角が増えてソリッドになったところやヒンジ剛性の強化と合わせて、上がった価格なりの触感はあるんじゃないかと。

ただ、けっこうツッコミを受けていますがその天板のシルバーな枠はどうなんでしょう(外観レビュー:4Gamer)。せめて黒か、この部分が交換可能だったら良かったんですが、交換できるのはシルバー「でない部分」なんですよね。

前の世代より100gほど増した重量は、まあ重くなったと言わざるを得ず密度を感じます。立ったり座ったりで遊ぶ分には気になりませんけども、寝転がって横や仰向けの状態だと特に響いてくる。

画面:解像度はそのまま、品質は向上

5.5インチから6インチへと解像度はそのままに大型化したスクリーンは、液晶とガラスの距離が縮まったか表示やタッチの違和感が薄れており、また明るさ・コントラスト・視野角などの品質も改善されているように見えます。TNからIPSに変わったのではとも言われていますね。

引き続き不評なD4相当(1280x720)の解像度は個人的にはゲーム機としてあまり不満はありません(いや、縦の解像度を使うゲームが動かないとこは明確にダメですが)。PCとしてはGPD Pocketのように長辺1920あたりがあると使い勝手は良かったでしょうね。私の用途だとリモートデスクトップが相変わらず辛いです。

音:ステレオ化されフォースフィードバックに対応

音は「しょぼいスピーカーが1個付いてるだけ、しかも普通に持つだけで塞がる」くらい悪かったのが「だるい時はイヤホン付けなくていいかな」と思うくらいに向上しました。元々が横向きのスピーカー(しかも片方しかない)だったのがキーボードとスティックの間に移動して正面に出るステレオになったので、ちゃんと左右分かれて聞こえます。ただし持ち方によっては親指が干渉するかも。

音声回路がサスペンドしたがるのは直ってなさそうです。無音がしばらく続くと次に音を出す時にプチっとノイズが入ります。

便宜上ここに書いておきますが、フォースフィードバックが付きました。振動の強度や精度はチャチとはいえ携帯機でやられるとちょっとインパクトがあります。

キーボード:レイアウトの正常化

前世代で突っ込みどころの多かったキーボードレイアウトは、明確に悪かったのが結構使える程度に良くなりました。キートップのカーブ方向の変更も理にかなっています。

今回はF7-F12がFnとの組み合わせになってて押しづらいこと、Fnが右にないこと、電源キーからDelにかけての配置、L3の存在(なんでL3???)くらいしかけなすところがありません。挙げてみたら結構あったな。

ゲームパッド

親指デジタルパッド:全体的に固くなった

これも欠点を潰す方向の強化です。海腹川背・旬で試しましたが完全とは行かないまでも相当マシになりました。横スクロール以上・対戦格闘未満といったところでしょうか。

ドリームキャスト以下のフニャフニャした触感だった十字キーにPSP程度の反発力が付いたのと、レイアウトが内側に寄って指の可動範囲に余裕ができたためか、垂直方向の操作で斜めが暴発しにくくなったように思います(完全ではないです)。引き換えにちょっと遠くて疲れそうではある。

また、親指の腹でAとX、BとYを押し分けるのが意外と難しかったのですが、これもクリック感の強化とレイアウトの変更によってかなり押しやすくなっています。固くなった分ときどき引っかかりも感じますが‥‥。

アナログパッド:標準スティックカバーでも摩擦はひとまず十分

GPD WINのデフォルトのスティックカバーは汗ですぐ滑っていたためにVita用の交換カバーを調達する向きがありましたが、WIN 2ではごくわずかにツヤ消しのかかっているような素材になっていて摩擦が増えているように感じます。

ここはボタンとの入れ替わりで本体外側へとレイアウトが変更されていて不安だったのですが、意外とすぐ慣れてしまいました。

ショルダーボタン:L3、R3の追加

相変わらずL1L2類はちょっとうるさいです。

そのL1/L2/R1/R2には良くも悪くも変更は感じられません、位置がちょっと変わったくらい。ただし内側(人差し指の先)にカチカチ言わないL3/R3が新設されました。

とはいえスティック押し込みではないので過度の期待は禁物ですが、操作系の問題で足切りになっていた特に3D系のタイトルが理論上遊べる可能性が生まれました。

モードセレクタ:マウスモードのキー配置は疑問

GPD WINから引き続きマウスモードではゲームパッドがデバイスマネージャから見えなくなるので、ゲームの起動前にゲームパッドモードにしておかないとパッドが認識されない‥‥というタイトルが時々あります。この辺は、デバイスマネージャ上ではパッドが常時見えていてセレクタ次第で入力の可不可が変わる、くらいの動きだとうれしかったかもしれません。

マウスモード時の左スティックがWASDなのはいいとして、十字キー左がPageDownで右が左カーソル、R3が下カーソルなのはちょっと理解に苦しむ。

GPD WINと同様、JoyToKeyやJoyToKey的なソフト(たとえばMouse Companionには、全画面表示のアプリが居ると自動的に切れる設定があって便利)を入れた方が使いやすくなります。ずっとパッドモードにしておけば起動時にパッドが無いとだめなゲームも関係なくなりますし。

ゲーミング性能:だいたい2倍

注目されていた性能面について。出荷時のファームとドライバで、GPD WIN比2倍くらいの性能が体感的に出ています。「動く」と「遊べる」の違いは依然としてありますが、以前よりも少し「遊べる」範囲が拡がったように思います。

以前GPD WINに対して当blogでは「Portal 2より重いゲームは諦めろ」としていましたが、Portal 2が快適になってしまったので「Borderlands 2かAlan Wakeより重いゲームは諦めろ」くらいに引き上げられたという見立てです。

microSDカードのアクセス速度はシーケンシャルで1.5倍くらい(50MB/s台)、ランダムはあまり変化なし、くらいのベンチ結果ですが、スロットがすぐサスペンドに入って復帰時に数百msec~数秒単位で止まるという症状が無くなっているので、ゲームインストール先にまあ無理なく使えるかなと思う。インストールしながら遊ぶのはランダムアクセスが埋まってだめです。

ゲームを試した感想をいくつか挙げておきます。

無理(ゲームに耐えない)

  • ニーア オートマタ:オープニングのシューティングステージでフレームスキップと減速が両方発動して12fpsまで下がり、ギブアップ。
  • Borderlands 2:1280x720解像度で、15fps程度への落ち込みが数秒間続くかと思えば乱高下する局面もあり厳しい。設定を追い切れてないだけかもしれませんが、ゲームスピード自体の速さと合わせてあまり向いてないと思います。L3/R3追加によって遊べそうなキーアサインではあるのですけど‥‥。

ゲームになりそう(15fps〜)

  • Alan Wake:GPD WINではそもそも起動しなかったのですが、WIN 2では行けました。オープニングステージで20fps前後。「動く」「遊べる」の境界ギリギリという感じ。
  • Batman: Arkham Asylum:最低設定なら弾力的に15~60fps。Borderlands2ほど忙しくないのと合わせて、頑張れば遊べそう。
  • 地球防衛軍4.1:やはり15〜60fpsくらい。GPD WINでは5fpsが見えてきてゲームスピードが常時低下していましたが、今回はヘクトルのガトリングや爆風など重いときに時々スローが入る感じ。
  • Rebel Galaxy:30fps前後。L1(ロック)/L2(エイム)/L3(ブースター)を活用するので左手の人差し指が忙しいかも。このゲームBGMがめちゃくちゃいいですね。
  • Ori and the Blind Forest: Definitive Edition:まだ序盤ですが30fps~60fpsの間を負荷に応じて遷移。空洞の林に1か所重いところがあって、そこが35fpsくらいでした。
  • Shantie Half-Genie Hero: Ultimate Edition:オープニングステージで45fps以上。完全ではないですがたぶん致命的でもなさそうかなと。

余裕がある(50〜60fps)

  • Downwell:50~60fps。GPD WINの時と違いフルスクリーンで表示できないという不具合もなく、遊びやすくなりました。
  • Battle Chef Brigade:50fps台。起動後にパッド認識させると挙動が不審になるかも。
  • 片道勇者+:50fps台。GPD WINではmicroSD使用時に不意に数秒間フリーズしていましたが、WIN 2ではそうした引っ掛かりはまだ見ていません。また気持ち画面が大きくなったために文字が見やすくなりました。
  • Geometry Wars 3: Dimensions Evolved:GPD WINでもよく動くタイトルでしたが今回も問題なし。重い局面で確認していませんが、最低設定より上げても行けるかもしれません。
  • Cuphead:面によるかもですが60fpsでほぼ安定。WINでは40後半から50台だった覚えがあるので安定が増した感があります。
  • 海腹川背・旬:60fpsほぼ安定。GPD WINで頻繁にあった動作の引っかかりは感じられなくなっています。
  • ロックマン クラシックスコレクション:TVフィルタを使わなければ60fps安定。WINとほとんど変わらない印象です。
  • ロックマン クラシックスコレクション 2:「ロックマン8」がTVフィルタ込みで60fps安定。こっちはGPD WIN 時代はもう少し遅かったような。
  • Portal 2:最低設定で50〜60fps。軽く遊んだ限りでは、GPD WINでみられたmicroSDアクセス時の「レコードの針飛び」のような症状もみられなくなっています。

電源まわり:安定感は増したが、動作音が大きい

めちゃくちゃ重大な割につまらない話をすると、私のGPD WINは電源を切っていると時計が進まない個体だったのでWIN 2では時計が進むようになったのが良かったです。これはマイナスがゼロになった類の改善点なのであまり褒める気になりません。

スリープの扱いは目に見えて良くなり、いわゆる「スリープ死」がみられなくなりました。ファームと充電回路の安定は気になるところなので今後も時々注視します。

消費電力(熱量)が増したのでファン音がさすがに大きいです。電源接続時にはHDMIモードのNintendo Switchより更にもうちょっとうるさいのでは。

USB Power Delivery(12V/2A?)に対応したACアダプタが必要になったため取り回しは多少面倒になりました。また超過充電のときにコイルがヒュイーーーーと鳴きます。充電完了が一発でわかるレベル。

おわり

最初にも書きましたが全体的に向上したと思います。「他にこんな狂ったハードは無いのだから付き合って行くしかない」という決断を伴う不満はまだ幾つかありますが、第一世代から見るとかなり徹底的に潰されました。逆に言えば「ようこんなん売っとったな第一世代」みたいなところも‥‥いや、止そう‥‥。

人に奨めるかといえば依然として断じてそういう端末ではない、そもそもサイズと形状の時点で人を選ぶ機械なので、万一これを読んで欲しくなったとしても一旦思いとどまって4Gamerの実使用レビューの厳しい結びを読んだ方がいいと思います。