Unihertz Titan Pocket 雑感

ガンダムエースの『HGに恋するふたり』良いですね。登場人物のコンプレックスが理解者によって解きほぐされるセラピー的な話は、言ってしまえば汎用的ですが、肝心のコンプレックスがアニメ趣味やガンプラ趣味だけならまだしも「SEED DESTINYが好きな自分をどう肯定していけるか」「ネットでしばしばネタ扱いされてる鉄血がどうしようもなく好きになってしまった」といった話にしばしば連動しているものだからガンダムというサブジャンルの微細化に驚かされます。そんな「百合のコアがガンダム!」という不思議な取り合わせに一生懸命向き合い成立させている中で、いつバランスを誤って『濃爆おたく先生』みたいにガノタ同士のわけのわからないこだわりで殴り合う話になるか心配半分楽しみ半分。

KickstarterでTitan Pocketに出資してました

10年以上前にはAdvanced W-ZERO3[es]のことを書き、3年前にはMoto Z用キーボードModのクラウドファンディングに出資して失敗し、去年はキーボードMoto Modの流れを汲むF(x)tec Pro1を買っている当blogなので、キーボードのついた電話を使ったり使わなかったりしているわけですが(BlackBerryとPlanet Computers端末は買ってない)、今回はそのうちのひとつであるTitan Pocketをしばらく使っている話をします。

GPDやUnihertzのクラウドファンディングは先行受注販売みたいなもんになって久しいので、出資というより購入感覚のやつですね。

Titan Pocket - The New QWERTY Android 11 Smartphonewww.unihertz.com

Titan Pocketは2021年9月に発売されたUnihertz社のQWERTYキーボード付きスマートフォンで、BlackBerryのようないわゆるキャンディバースタイルを特徴に持つ端末です。

同社の端末は昔Jelly Proの通販トラブルを取り上げた割には全く縁がなく、今回が初めての接触でした。

印象としては前に買ったF(x)tec Pro1以上に慣れと手当て、割り切りと諦めが必要と感じます。このあたりはスペック上わかることと、外形の問題と、単に出来の問題と色々あるのですが、ともあれ得意と苦手は非常にはっきりしているので、サブ端末として特性に合った用途を見出せれば割と行けるんじゃないでしょうか。

単に小さい端末が欲しければiPhone miniを買えばいい。キーボードが欲しければ要検討かもしれない。そんな距離感です。

とにかく画面形状がつらい

うーん情報量。

一番のネックはやはり画面の大きさと形にあるように思います。コストなど色々事情はあったのでしょうが、キーボードとの隙間がちょっと恨めしくなります。

メーカーであるUnihertzの主張としては正方形画面は理想的なアスペクト比らしいのですが、現代の用途(アプリケーション)がそれに合わせてくれるとは限りません。

世の99%の携帯電話が全画面形状の縦長スマートフォンである以上、それを前提にしたウェブページやアプリケーションを扱うときは、やはり縦長画面のほうが圧倒的に都合が良いです(これを以て「ウェブやアプリのユニバーサルデザインとは何か」を考えてみてもいいですが、まずは正方形の狭い画面が2021年に普段づかいする端末として適切かどうかという現実の問題はなくなりません)。

一応の対応策として左右に黒帯を作ってまで縦長アスペクト比を擬似的に再現するminiモードがありますが、これは画面下部に隠れたボタンを押すためのおまけ機能といった体で、コンテンツの作成・消化の助けにはあまりなりません。

無印TitanのようにPC版サイトを表示するに十分な物理サイズは望めないのですから、携帯版サイトに合ったアスペクト比(せめて9:16、720x1280とか)を備えていてほしかった、というのが正直なところです。広告バナー1〜2個ぶんの縦面積が足されていればだいぶ違っていたでしょう。

私は携帯電話の画面にノッチやパンチホールを付けることに強硬に反対している人ですが、Titan Pocketに限って言えば「多少ノッチを付けてでも縦長の画面であれば‥‥」と思ってしまいました。

クセの強いキーボード

キーの押し心地はBlackBerryあたりの経験のあるかたには不満もあるようですが個人的にはあまり気になりません。Motorola Pro PlusやNEC Terrainあたりよりは快適な、可もなく不可もなくといった感じ。

すでに何枚か画像を載せた通り、古来よりスマートフォンの狭小キーボードにありがちな極めて変則的な配列は慣れが必要です。ハイフンとアンダースコア、カンマとピリオドの位置が直感と逆なのも罠っぽい。

play.google.com

インプットメソッドAquaMozc for Titanは私には必須です。特に固定キー機能(AltやShiftの押下状態が離しても残る)とCtrl+JBNMのカーソルキー割当てのおかげで操作性が見違えてくる。私はカーソルキーを打つためにキーボードを使ってるようなところがあるので本当に助かっています。

ローエンドなプロセッサ

ローエンドと言われるHelio P70の先入観よりは軽快といったところでしょうか。ブラウザの巨大テキストエリアだとか、Twitterのような意外とリソースを食うアプリケーションで非力さがバレていきます。

2014年リリースのスクールガールストライカーズがまあまあ動くかな(重い演出やミニゲームでは60fps出ない)‥‥という感じなのでカジュアルなゲームでも動いたり動かなかったりするでしょう。もともと「これ一つで何でも」というタイプの端末ではないし、画面が小さすぎてゲームが成立しないことも十分に考えられます。

Terribleな無線

これまで触ってきたスマートフォンどころかあらゆる無線LAN端末の中でもぶっちぎりに悪いです。公衆無線LAN含めて幾つか試していますが、ちゃんと繋げられるほうが少ないというのは正気とは思えません。

DHCPを避ける、5GHz/2.4GHz同一SSIDのAPを避ける、できれば2.4GHzに専用のAPを用意するなどの「おまじない」によって多少改善するようですが、アクセスポイント側での手当てを求める時点で筋は悪いでしょう。家の環境ではタイムアウトが数分に一度起こるし、Wi-FiAndroid側の制御によってしばしばオフにされます。

Bluetoothイヤホンも手元のものだと通話中に突然再接続されたりで、どうも信用が置けない感じです。

そのほか

OSカスタマイズはちょっとやる気があって、キーボード面をなぞってのスクロール機能(時々センサが暴れて画面がガタガタするが……)、アプリ毎の画面回転の抑止、ホーム画面での短押し・長押しのアプリショートカットなど、「それっぽい」機能が入ってるのは良かったと思います。

ハードウェアの作りには言及せざるを得なくて、音量やPTT・電源などのサイドボタンの故障報告が相次いでいるのは気になっています。手元の端末でも音量ボタンはちょっとチャタリング気味。

バッテリーは非力さと分厚さの相乗効果か、やたらめったらもちます。

結論: 「ハマる隙間」が生活にあれば

小さい画面と小さいキーボードで何をするかが肝心であって、ブラウジングや動画鑑賞などのコンテンツ消化をする端末ではないなという実感があります(当たり前だ)。無線LANの貧弱さも相まって家の中ではなく外で主に使う端末というか、「外での文字の読み書き」「VISAタッチやPaypayでの決済」あたりの用途に定まりつつあって、更にSurface Duoと2台持ちすることによって双方の弱いところを意外とカバーできつつありますが、まあSurfaceの話は別枠でしましょう。

実際チャットやらメモ帳アプリやらでガシガシと文字を打っていけるのはタッチパネル入力に代えがたい使いやすさがあり、またキーボードが即時使える形状は、F(x)tec Pro1よりもポジティブに削り込まれた体験につながっています。ボロクソ言ってるけど毎日持ち歩いとるからな俺は。

ただその体験に皆がどのくらいのコストを払えるか、コストというのは金だけでなく端末と付き合っていくライフスタイルを調整するところも含めて……たかが電話に、しかも3万くらいのロースペック端末に向けて何をどこまで払えるか? という点で、あまり人に勧められるもんではないよな、というのが私の結論です。

余談ですが、おそらく画面比やサイズ・性能などここに挙げた問題はBlackBerry KEY2のほうが上手くいなしてたんじゃないかと思います(触ったことはないけど)。あっちはベゼル狭いし縦長だしQualcommプロセッサだしで、まあその分値段も高かったんだが……。

まとめの〆

本機は近年のQWERTYキーボード内蔵のスマートフォンとしてはF(x)tec Pro 1やCosmo Communicator、Astro Slideに並ぶ数少ない選択肢であり、2021年リリースの縦型(キャンディバー型)端末としては唯一の存在です。

とはいえ上に書いた通り、他に選択肢がないからといって、ローエンドプロセッサの低価格端末だからといって、決断的な割り切りを迫られる場面が多すぎるふしがあります。言い方は悪いですが今後BlackBerryの新型が出てくる(らしい)時のための心の準備や予行演習には良かったかもしれません。今後もときどきこうして自分と電話との間合いを測っていくことでしょう。それでは。